2022 Fiscal Year Research-status Report
Effectiveness of Cognitive Processing Therapy for Posttraumatic Stress-Related Disorders in Adolescents and Development of an Introductory Program
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22K03191
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
片柳 章子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, リサーチフェロー (80792407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正哉 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 部長 (20510382)
大江 美佐里 久留米大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (40373138)
牧田 潔 愛知学院大学, 心理学部, 教授 (00455560)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 心的外傷後ストレス障害 / 認知処理療法 / 青少年 / トラウマケア / 心理教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder; PTSD)やその治療研究は成人か子どもを対象としており、その狭間にある青少年期のトラウマの問題は取りこぼされてきた。青少年期は、周囲の影響を受けながら一人の大人として自分を確立する時期であり、仲間集団などで社会性を発達させる一方で、いじめや体罰、虐待、性犯罪、ハラスメント等の対人関係に起因するトラウマ被害に遭う可能性が高い。なかでもいじめによる被害は、うつ病、不安症、物質乱用や自殺行動など、成人以降に渡って長期的な悪影響を及ぼす(Kaess, 2018)。青少年期のメンタルヘルスの問題は、その後の発達に長期的かつ深刻な影響が報告されており、青少年へのトラウマケアが急務である。 そこで本研究では、研究1で、青少年期に特化した認知処理療法の有効性と安全性の検証を行い、研究2で、トラウマ理解を促進する青少年用心理教育プログラムのウェブコンテンツを作成し、PTSD症状に苦しむ青少年の多様なニーズに応えうる治療法の開発を目的としている。 本研究は多機関共同研究となるため、関係機関の分担研究者、共同研究者らとオンラインミーティングにて、定期的に研究1と研究2の遂行に向けて話し合った。初年度の研究実績としては、青少年用認知処理療法のマニュアルの修正を行い、さらに臨床現場での聞き取り調査により、青少年のComplex PTSD患者にも適用可能な臨床試験を遂行するために研究計画書を修正し、倫理委員会へ変更申請を行った。その後、研究のリクルートを開始し、臨床試験実施中である。2023年度は、臨床試験の目標登録数の達成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究1に関して、臨床現場での聞き取りを実施したところ、青少年のComplex PTSD患者の場合、幼少期からの虐待等により症状がなかった状態の記憶がないことも多く、自分の症状を低く見積もる可能性があることから、組み入れ基準の幅を広く持たせるため、研究計画書をB基準からE基準のうち2つ以上を満たしていることに修正し、倫理委員会に変更申請をしたため、臨床試験に遅れが生じた。また、PTSDのA基準閾値化レビュー論文において、いじめや精神的虐待はPTSD症状と有意に関連があり、深刻な公衆衛生上の問題があることが明示されており(McKay MT et al, 2021他)、本研究の対象は青少年でいじめや精神的虐待、ハラスメントに遭いやすい年代ということを考慮し、A基準を満たさなくとも、人格否定や尊厳を傷つけるようないじめや精神的虐待、ハラスメントは含むことにした。 研究2は、臨床現場での聞き取りから、トラウマの仕組みや心身に生じる影響、回復するための方法、心を落ち着かせるための各種リラクセーション技法、情動コントロールや安全のための対処スキルを含んだ青少年用認知処理療法に基づく青少年のためのトラウマ心理教育を開発中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1では、臨床試験実施施設と定期的にミーティングを行い、リクルートのための広報活動を進め臨床試験を推進させる。研究2においては、今年度までに心理教育プログラムの完成を目指す。
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Causes of Carryover |
臨床試験用に算出していた物品費や謝金の支払いが臨床試験が遅れたことで使用されなかったため
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Research Products
(5 results)