2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K03232
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
阿部 健 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (90362409)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 超曲面 / 部分多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
グリーン・グリフィス・ラング予想という長い間未解決の予想がある.一般型の非特異射影複素多様体Xに対し,その真のザリスキ閉集合Z(例外集合と呼ばれる)が存在して,複素平面からXへの非定値正則写像の像はZに含まれる,という主張がそれである.この予想はほとんど手つかずで,いまだ解決からほど遠いと思われているが,特殊な一般型多様体に対して,グリーン・グリフィス・ラング予想を検証する試みはいくつか行われている.今年度,本研究者は,グリーン・グリフィス・ラング予想の代数的類似に関する研究を行った.ここで代数的類似とは,例外集合Zの外に複素平面からの非定値像は存在しない,ことの代わりに,例外集合に含まれない部分多様体は一般型である,ことを示す問題となる.この代数的類似でも一般に考えるのは難しいが,射影空間内の一般な超曲面に対しては,アイン,ヴォアザン,クレメンス・ランらによる研究がある.これらの研究では例外集合も具体的に決定されている.たとえば,クレメンス・ランの扱った場合では,例外集合は超曲面内の直線の和集合である.本研究者は本年度,この研究に触発され,次の場合を考察した.Gを端連結単純複素リー群とし,Tを極大トーラス,BをTを含むボレル部分群とする.Bを含む極大な放物的部分群はGのディンキン図形の頂点と一対一に対応する.そこでPを長ルートに対応する極大放物的部分群とし,G/Pをピカール群の正の生成元の完全線形系で射影空間に埋め込む.この時G/Pと超曲面の交わりに対し,グリーン・グリフィス・ラング予想の代数的類似の研究を行い,クレメンス・ランの結果の一般化を得ることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に挙げていた取り組むべき問題の一つを解決できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
クレメンス・ランの結果の別の一般化など,引き続き研究計画に挙げた課題に取り組んでいく.
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Causes of Carryover |
今年度予定していた研究打ち合わせを来年度に持ち越したため.
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