2022 Fiscal Year Research-status Report
Relations between prehomogeneous zeta functions and automorphic forms
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22K03251
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
杉山 和成 千葉工業大学, 情報科学部, 准教授 (90375395)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 概均質ベクトル空間 / 概均質ゼータ関数 / 保型形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポアンカレ上半平面上で定義されたウェイト0のマースのカスプ形式の周期を係数に含む、2次対称行列の空間に付随する概均質ゼータ関数に対してヴェイユ型の逆定理を適用して重さ1/2のマース形式を構成した。これにより、合同部分群に対する新谷-カトック-サルナック対応を証明したということになるが、それに関する論文が出版された。この結果は、本研究課題を遂行する上で最も基本的なものである。さらに、不定値2次形式に対するジーゲル・ゼータ関数に対して、ディリクレ指標でひねったL関数の解析的性質(解析接続、関数等式)を証明し、それに対して逆定理を適用することでマース形式を構成した。実は、ジーゲル自身が1938年の論文の中で適切な逆定理を用いるとゼータ関数から保型形式を構成できるであろうという趣旨のことを書いていて、今回の計算はその方針に従ったものといえる。(1938年の時点では、ヴェイユの逆定理についての論文はなかった。)また、符号についてのある条件の下では、ジーゲル・ゼータ関数から正則保型形式が構成できることを確かめたが、これはジーゲル自身が1948年の論文の中で微分作用素の計算を使って証明したことと整合性がある。(1948年の論文については、伊吹山知義氏からご教示いただいた。)ジーゲルのゼータ関数に関する結果についてはプレプリントをarXivに公開した。ジーゲルのゼータ関数の留数計算については論文が少ないので、今回のプレプリントでは細部を省略せずに書いたが、それがこの分野の研究者にとって役立つものになることを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Shintani-Katok-Sarnak対応についての論文が受理されたというのは、本研究を遂行していくうえで意義がある。まだ受理されていないが、ジーゲルのゼータ関数についての論文も執筆できたことも踏まえて、「おおむね順調に進展している」という評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度までの研究で、ジーゲルのゼータ関数の保型性が証明された。この保型形式はアイゼンシュタイン級数の線形結合になるはずで、具体的に線形結合の係数がどのようになるかは興味のある問題である。2023年度は、このような問題に対して、過去にどのような研究がされているかを調べて、ジーゲルのゼータ関数の場合にその方法を応用したいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響のため、予定より研究出張の回数が少なくなってしまった。次年度には、概均質ベクトル空間に関する研究集会が神戸大学において開催される予定であり、それに伴い支出が増える見込みである。
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Research Products
(2 results)