2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K03269
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 健人 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (40779146)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | K安定性 / 極小モデル理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
ファノ多様体或いは一般の偏極代数多様体に対し、そのK安定性なる代数的安定性条件を考えることは、定スカラー曲率ケーラー計量の存在問題と関連し重要な問題である。考える偏極代数多様体がファノ多様体の場合は、付値判定法の理解の深化によって近年大きな発展を遂げたことは良く知られている。他方ファノ多様体とは限らない一般の偏極代数多様体に対しては、前述のファノ多様体のようには上手くいかず、その困難を如何にして打破するかを準単項的付値を主題として理解しよう、という試みを行っている。まずはそもそもK安定性に対し如何にして種々のテスト配位に付随するドナルドソン・二木不変量がふるまうのかを多くの例で計算した。その成果として、香川大学の四ッ谷直仁氏との共同研究で、「どの偏極でもK半安定なボット多様体は射影直線の積に限る」という結果を得て、今年度それがオンラインで出版された。また、ファノ多様体のKモジュライ空間の(境界を含めた)理解も研究の過程で重要であることを認識した。この方向では、Edinburgh大学のCheltsov氏、埼玉大学の岸本崇氏、九州大学の岡田拓三氏との共同研究である、3次元ファノ多様体のある族の全ての非特異元のK安定性を決定した論文が今年度出版された。また(これ自身は前年度以前に完成していたが)合計9人で執筆した3次元ファノ多様体に関するカラビ予想の書籍、そしてとある3次元ファノ多様体のK安定性を決定し更にAbban-Zhuangの理論に関する計算公式を導出した単著論文が今年度出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般偏極の代数多様体のK安定性は、簡単な代数多様体であっても判定が難しく、「付値判定法」のような準単項的付値の言葉での翻訳はそのままでは期待できないことが分かった。なので当初の研究プランから少しずれることになるが、ファノ多様体の場合に戻り、Kモジュライ空間の特定というアプローチで研究を進めており、その方向では現在進行中の計画を含め順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、ファノ多様体のK安定性、しかしながら個々の3次元の族に対しコンパクト化されたKモジュライ空間まで込めて理解する、という試みで研究を進める予定である。またファノ多様体上ではあるが反標準因子がいくつかの固定された豊富因子の和で書かれているような状況でのK安定性の類似についても現在研究を進めている。
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Causes of Carryover |
当初予定していた出張を航空券代の高騰に伴い中止した。そのため次年度に若干の繰越金が発生した。次年度の出張費に充てる予定である。
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