2022 Fiscal Year Research-status Report
Schur多重ゼータ関数の数論的性質および組合せ論的性質の解明とその応用
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22K03274
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
中筋 麻貴 上智大学, 理工学部, 教授 (30609871)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | Schur多重ゼータ関数 / 対称多重ゼータ関数 / Giambelli公式 / 9th variation / 2次関係式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題において,Euler-Zagier型多重ゼータ関数の組合せ論的拡張であるSchur多重ゼータ関数について,その性質を追求する研究を進めている.本年度は主に組合せ論的性質の解明を中心に研究を行い,以下の研究実績を得た. [1] 武田渉氏(東京理科大学)との共同研究において,Schur関数の変形版となる対称関数,対称多項式と類似の構造をもつ多重ゼータ関数を導入し,その挙動の考察をした.具体的には,Schur P関数,Schur Q関数,Simplectic Schur多項式,Orthogonal Schur多項式の類似となる多重ゼータ関数である.その結果,それぞれの関数/多項式について,基となるオリジナルの対称関数,対称多項式と同様の結果をいくつか得ることができた.本研究による成果は論文にまとめて投稿中である.また,本結果より,対称関数とその類似となる多重ゼータ関数の代数的構造について新たに考察をはじめた. [2] 松本耕二氏(名古屋)との共同研究において,Winged型Schur関数について知られているGiambelli公式の解明を行い,この多重ゼータ関数への応用について考察した.先行研究(2018)でSchur多重ゼータ関数のGiambelli公式について考察した際は,Nakagawa-Noumi-Shirakawa-Yamada(2001)手法を用いていた.これに対し,本研究では,別のアプローチ法について考察した. [3] 武田渉氏(東京理科大学)および山崎義徳氏(愛媛大学)との共同研究において,Schur関数の9th variationについて,行列式表示とPlucker関係式を用いることで新しい2次関係式を得た.本研究成果を,日本数学会2023年度年会において報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,Schur多重ゼータ関数の数論的性質および組合せ論的性質の解明を目的としている.これに対し,本年度の研究では組合せ論的性質の解明に着目して研究を進めてきた.本年度の考察成果は,来年度以降の研究の手がかりとして重要な結果であると考えられることから, 本年度の研究目的は順調に達成したと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
Schur多重ゼータ関数の性質の解明について,引き続き取り組んでゆく.とくに組合せ論的性質については,構造的な部分に着目して研究をすすめてゆく.数論的性質については,次年度以降,積極的に取り組んでゆく.
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Causes of Carryover |
対面で参加予定としていた国内の研究集会の多くがハイブリッド開催となり,所属期間での仕事の都合からオンラインで参加せざるを得なくなった.また,外国(インド)からの共同研究者を3月に本研究費で招聘する予定であったが,先方の体調不良のため,来日がキャンセルとなった.これらの理由により,本年度の研究費を次年度に使用することとなった.次年度使用計画としては,あらためて対面による研究打合せを計画し,これにかかる旅費として用いる予定である.その他,打合せを円滑に行うための機器や書籍の購入に用いることを計画している.
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Research Products
(11 results)