2022 Fiscal Year Research-status Report
曲率次元条件を満たす測度距離空間の離散空間による近似
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22K03291
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北別府 悠 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (50728350)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | Gromov-Hausdorff 収束 / Mosco 収束 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は測度距離空間の列が Gromov-Hausdorff 収束する時にエネルギー形式が Mosco 収束するための十分条件について検討を行った。RCD 空間の場合はエントロピー汎関数の凸性からエネルギー形式の Mosco 収束が引き出せる。具体的にはエントロピー汎関数の勾配の Gromov-Hausdorff 収束に関する下半連続性から測度に関する情報を得る。あとは CD 理論で得られたエントロピー汎関数の勾配流と Cheeger エネルギーに関する熱流の一致からエネルギー形式の収束を得る。しかしグラフなどの離散空間による連続空間の近似ではエントロピー汎関数の凸性は通常の L2-Wasserstein 距離に関して決して得ることができない。したがって Gromov-Hausdorff 収束と比較的相性の良い測度の収束とエネルギー形式の収束の関係は明らかではない。しかしながらグラフの曲率の定義によっては熱流の凸性自体が得られることもあり、RCD 理論の手法を真似ることで Mosco 収束を得ようと試行錯誤していた。今までその手法に変わるものは認識していなかったが RCD 理論の発展前の手法(Cheeger-Colding 理論)を用い、別の方法で Mosco 収束を引き出す可能性を学んだ。この手法は極限空間が多様体であれば適用できる可能性がある。例えば列の Ricci 曲率が下に有界でなくても極限空間自体の Ricci 曲率が下に有界であれば Mosco 収束ができるのではないかと考え、シンプレクティックトーリック多様体の場合にこの理論が適用できないかも研究をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エントロピー汎関数の凸性から Mosco 収束を導く手法を離散近似に応用しようと思っていたが, 現段階ではうまくいっていなかった. しかし Cheeger-Colding 理論の手法を学ぶことで別ルートの可能性も出てきた. 初年度に一つのやり方に拘泥せずさまざまな方法を見つけることができたので概ね順調に進展しているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
RCD 空間の手法と Cheeger-Colding 理論の手法どちらも可能性があると思うので, 適切な曲率の仮定からさまざまな方法を試していく. また, ひとまず強い仮定の下で収束理論を研究するために Alexandrov 空間の理論についても学んでいく.
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Causes of Carryover |
今年度は予定していたよりも研究集会に参加しなかったので科研費が余った. 来年度はさまざまな研究集会及び研究打ち合わせを多数予定しているので適切に使用できる.
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