2023 Fiscal Year Research-status Report
Global study of nonintegrable distributions from the view point of the h-principle
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22K03305
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
足立 二郎 北海道大学, 理学研究院, 理学研究院研究員 (20374184)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | カルタン接分布 / ホモトピー原理 / 凸積分の理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の大きな目的は,多様体上の幾何構造に関する「幾何学的」研究と「トポロジー的」研究をの関連を追求することである.2023年度に行った研究では,(2,3,5)-Cartan接分布構造とそれに関連する幾何構造に関して考察をした. (2,3,5)-Cartan接分布構造とは,まず5次元多様体上の階数2の接分布構造である.すなわち,5次元多様体上の各点に2次元の接部分空間を対応させる接分布構造である.そして,Lieかっこ積という方向微分を考えると可能な最大の増大をして,2回でベースの多様体の次元に到達するものである.これは,例えば机上を転がるボールのモデルとして現れる構造である.この構造は,これまでに既に考察した構造のひとつである(3,5)接分布と呼ばれる幾何構造をその一部分に含むとみなせる. 特に,閉多様体上での構造の存在や分類は微分トポロジーにおける自然な興味である.(2,3,5)-Cartan接分布構造に関して,5次元閉多様体で「形式的Cartan構造」を持つことが存在の必要十分条件であることが分かった.また分類に関して「形式的Cartan構造」としてもホモトピー分類と一致することが分かった.ここで形式的構造とは,5次元多様体の接束の部分束の系列とその上のいくつかの2形式で表される. すなわちこの形の研究は,多様体上の幾何構造が多様体の位相的な性質に影響することを意味している.さらに,トポロジーと微分幾何学の相互作用による双方の発展のみならず,制御理論への寄与も期待できる. そして,2023年度中には研究対象を関連する他の接分布構造へ拡大させている. 研究の一部は国内外の研究者たちとの共同研究として進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の蔓延が,研究の進捗にも大いに影響した.講義の対応が少しずつ以前のように戻り,研究環境も戻りつつある.これまでの遅れを取り戻すべく,完全には戻らない時間の中で集中して研究に向き合った.これまで以上に時間を切り詰め,進捗もあったが,当初の計画にはとても追いつくに至っていないと言わざるを得ない. 細切れではなくまとまった時間が取れなくなったことは,情報収集や共同研究に影響が大きかった.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,研究時間を確保できる状況になることを祈りたい.
(2,3,5)Cartan接分布構造について,ホロノミック近似の議論を追って存在定理をうまい形で纏めたい.そして,他の研究との関連から考察を深めたい.いくつかの結果をまたぐ形の考察が期待できる. 特殊多重旗構造など,様々な幾何構造などに研究の対象を拡げたい.そのために,各構造の専門家と直接に会って議論することにより,知見をひろめ考察を深めたい.必要に応じて新しい方法を模索しながら進めていきたい.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により,研究機会がおおいに制限を受けた.共同研究や,研究成果の発表などのための旅費を予定していたが,使用することはなかった. 今年度は比較的機会が増えて来たが,適切な量にとどまっている. 次年度には,海外の研究者との直接の議論の機会を持ちたい.また周辺分野の活性化のための研究情報の交換の場を企画することを考えたい.
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