2023 Fiscal Year Research-status Report
コンパクトミニツイスター空間とEinstein-Weyl空間に関する研究
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22K03308
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本多 宣博 東京工業大学, 理学院, 教授 (60311809)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ミニツイスター空間 / Einstein-Weyl空間 / Zoll多様体 / 超楕円曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、コンパクトミニツイスター空間から得られる3次元不定値Einstein-Weyl空間について考察した。まずミニツイスター空間の種数が1の場合に、昨年度までの研究を発展させて、これらのEinstein-Weyl空間がdeSitter空間とは同型ではないことを示した。また、得られたEinstein-Weyl空間は1次元の族をなすが、それの極限としてdeSitter空間が生じるかどうかを考察した。これらは福島大学の中田文憲氏との共同研究である。また、この研究の自然な拡張として、種数が一般のコンパクトミニツイスター空間から定まる不定値Einstein-Weyl空間の性質を調べ、その空間的測地線がすべて閉じていることを証明した。種数1の場合と違って、この場合は一般種数の超楕円曲線のヤコビ多様体が証明の際に主要な役割を果たす。 これらの研究とは別に、ベッチ数b_1とb_2が消えていて、かつオイラー標数が消えていない3次元コンパクト複素多様体は、複素曲面(特異点をもつことを許す)への全射正則写像を持たないことを証明した。この結果は6次元球面と同相な複素多様体やS^3の直積の連結和として得られる複素多様体に対して適用される。これはUC IrvineのJeff Viaclovskyとの共同研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、ミニツイスター空間から得られるEinstein-Weyl空間がZoll性をもつことはまったく期待していなかったが、考察の結果、Zoll性を満たすEinstein-Weyl空間の例が大量に見つかったため。また、b_1とb_2が消えている3次元コンパクト複素多様体に関する結果は、そもそも得られると考えていなったものであったため。
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Strategy for Future Research Activity |
一般種数のコンパクトミニツイスター空間から得られるEinstein-Weyl空間は族として得られているが、この族に属するものたちが互いに同型でないことを示す。また、これらの族の極限として、種数が1つ落ちたコンパクトミニツイスター空間から得られるEinstein-Weyl空間が生じることを示す。これら2つの課題は種数1の場合に現在進行中の研究の自然な一般化として得られることを想定している。
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Causes of Carryover |
海外出張(一件)の旅費が航空運賃の高騰により想定していたよりも高くなったため、本年度購入予定であったコンピュータを購入することができなかった。差し引きで次年度使用額が生じた。今年度は、研究集会への出張日程が通常よりも長くなる見込みなので、その分の旅費のために使用する予定である。
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