2022 Fiscal Year Research-status Report
Long-term behavior of stochastic models on lattices with spatio-temporal interactions
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22K03333
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
竹居 正登 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60460789)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ランダムウォーク / パーコレーション / 極限定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従って時間的・空間的に相互作用をもつ確率モデルの研究を進めた.その結果,(1) ファーストパッセージパーコレーション問題における極限定理,(2) 記憶のあるランダムウォークに対する極限定理,(3) 記憶のあるランダムウォークの極限定理を応用した至る所微分不可能な連続関数の性質の研究について新たな知見を蓄積することができた.特に,(2)のテーマについて得られた成果について述べる. Elephant random walk with stopsは,"step-reinforcement"と呼ばれる仕組みにより推移確率が変動する離散時間ランダムウォークであり,左右の隣接点に移動する他,その場で留まることも許したものである.「その場で留まる」確率rを固定したときに,記憶と同じ向きに進む度合いを表すもうひとつのパラメータpに応じて3つの異なる相が生じるが,r>0の場合,r=0である通常のelephant random walkとは量的にも質的にも異なる極限挙動を示すことがBercu (2022)等によって示されている.横浜国立大学の秋元達哉氏・谷口恵祐氏と共同で,r>0の場合の長時間挙動を記述する極限定理について研究した.時刻nまでに訪問した点の総数の増大度について研究し,r,pに応じて多様な挙動が生じることを示した.また,r>0の場合に時刻nまでにウォーカーが移動した回数と時刻nでのウォーカーの位置の相関係数について調べ,ある種の特別な状況を除いてはpに応じてn→∞での挙動に3つの異なる様相が見られることを証明した.この成果を論文としてとりまとめているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パーコレーションにおける極限定理の精密化や自己の軌跡が推移確率に影響を及ぼすランダムウォークの極限挙動については,研究の進捗が計画よりもやや遅れている感があるが,これまでに得られている成果をとりまとめつつ,基本に立ち返って地道な研究を推進している.これによって,今後の研究につながる考察と,関連して取り組むべき課題を蓄積できている.記憶をもつランダムウォークの一種であるエレファントランダムウォークや,この研究から派生した微分不可能な連続関数の研究については,当初計画に含まれない方向にまで研究の幅が広がっている. 以上のことから,総合的に判断して「おおむね順調に進展している」と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
パーコレーション・強化型ランダムウォークの長時間挙動を記述する種々の極限定理について,本年度までの積み上げをさらに推し進めて新たな成果を得ることを目指す.とくに,格子点のランダム彩色に伴うファーストパッセージパーコレーション問題における最適経路の性質の解明についてこれまで蓄積してきた考察をさらに深めたい.強化型ランダムウォークに関しても,木グラフ上のモデルを中心に,さらに精密な極限定理が得られないか考察を続ける.これらを両輪とした研究推進により,パーコレーションにおける極限定理の精密化への道すじをつけてゆく. これらの研究を推進するために,最新の数学書を購入し情報を収集する必要がある.また,パーコレーションや記憶のあるランダムウォークについて活発に研究している国内外の研究者を訪問・招聘して意見交換を行なう.得られた成果については国内外の研究集会において発表し,参加者と討論することでさらなる深化を目指す.
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Causes of Carryover |
(理由) 令和4年度もコロナ禍の影響が残り,研究打ち合わせや成果の中間発表のための出張計画を縮小せざるを得なかったため. (使用計画) 研究集会等に積極的に参加し,成果発表や研究討論を行なう.また,研究のための資料やソフトウェア等を一層充実させる.
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Research Products
(6 results)