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2022 Fiscal Year Research-status Report

古典的現代的多変数超幾何函数の接続問題とその発展

Research Project

Project/Area Number 22K03337
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

三町 勝久  大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (40211594)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Keywords超幾何関数 / 複素解析的微分方程式 / 接続問題 / モノドロミー表現 / 交叉数 / ねじれホモロジー / 複素積分 / Selberg型積分
Outline of Annual Research Achievements

複素解析的線形微分方程式論における解の接続問題が解けている例は一変数の場合ですら非常に少ない.それを踏まえ,Appell, Lauricellaらによる古典的多変数超幾何函数と共形場理論のKnizhnik-Zamolodchikov方程式やDotsenko-Fateev方程式の解やHeckman-Opdamの超幾何函数などの現代的多変数超幾何函数を総合的・俯瞰的に考察することによって,一般のn変数で解ける接続問題の例の多くを発見・蓄積・整理し,次の段階へ発展させることが本研究の目的である.これについての本年度の研究実績は次の通り.
(1) Appellの$E_1$方程式に関する接続問題については,前研究課題期間中に満足のいく結果が得られたことはすでに報告済みであり,部分的に発表済みであるが,この結果を,より系統的にスッキリ得られるようまとめ直す(簡明な別証明を与えることを含む)ことに労力を費やした.その結果,200頁ほどの原稿がほぼ最終段階に達した(以前の方法では300頁以上のものになりそうであった).
(2) Dotsenko-Fateev方程式に付随するモノドロミー表現が既約となるためのほぼ必要にして十分な条件を決定した.その際,方程式の解を表わす積分の被積分函数の指数に対する解析性や,解の一次独立性を保証するWronskianを具体的に求めた.得られた条件は,被積分函数の特異性(パラメータに対する共鳴条件)を起源にもつもので尽きないという点で,全く新しいものである.これは予想外であり,面白い現象を発見したと思っている.
(3) q差分版の考察のための準備として,Ramanujanの${}_1\psi_1$-和公式,Slaterの${}_{2m}\psi_{2m}$-和公式を再考察した.おかげで,それらの新たな導出法を発見した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

概要で述べた通り,ほぼ予定通りの研究成果を得ており,次年度以降の研究も順調に推進できるものと考えている.より具体的には,次の通り.
(1) Appellの$E_1$方程式に関する接続問題については,その接続公式の証明が5つのパターン(ねじれホモロジーの交叉数を求める計算公式の場合の数)に帰着されることがわかり,120個の接続公式を明示的に導く手間がかなり軽量化された.
(2) Dotsenko-Fateev方程式に付随するモノドロミー表現の既約性に関する条件のかなりの部分は,何年も前に既に分かっていたのだが,最後の詰めが詰め切れていなかった.それが,ようやく出来てスッキリした.
(3) KZ方程式の解の接続問題,Heckman-Opdamの超幾何函数の接続問題に着手するための準備の一環として,そのq差分版についての考察を久しぶりに思い出そうと,まずは,その基礎として,昔,研究したことのある,無限和=無限積公式の(これは接続問題の背景にある公式です)意味を,あらためて考え直してみた.その途上,昔は分からなかった構造に気が付いて,いくつかの古典的な公式の証明を見つけた.久しぶりのq解析であったが,ほんの短い期間に,全く予想していなかった結果が得られ,満足であった.
研究費運用に関しては,コロナ禍が収束していなかったために出張を控えざるを得ず,したがって,残念ながら,計画通りの支出は行えなかったが,次年度以降は継続した研究費運用により、有効な成果が期待できるものと思っている.

Strategy for Future Research Activity

(1) Appellの$E_1$方程式に関する接続問題についての論文とDotsenko-Fateev方程式に付随するモノドロミー表現についての論文は,ほぼ最終段階に達したので,早期に投稿する予定である.(2) Lauricellaの$E_D$方程式の解の接続問題について,Appellの$E_1$方程式の場合での知見を参考に,研究を進めたい.(3) Lauricellaの$E_A$方程式に関する接続問題については,サイクルの扱いについての不満足な点を解決すべく研究を行う.(4) Appellの$F_4$函数のサイクルについては,数年前に既にある程度の理解が出来ているのだが,その定式化の際のサイクルの扱いには,まだ,不満足な点,理解不足な点がある.引き続き,この理解に向けた努力を行いたい.関連する接続問題も考えたい.(5) Ramanujanの${}_1\psi_1$-和公式,Slaterの${}_{2m}\psi_{2m}$-和公式の研究を発展させて,多変数q超幾何函数の接続公式を考察したい.(6)さまざまな場合のSelberg型積分(qの場合も含む)に付随する(コ)ホモロジーの生成元または基底についての系統的な理解を進めたい.実は,${}_3F_2$の場合ですら,その基本的性質は明らかになっていないようである(${}_3F_2$の$1$における値を示す積分までしか系統的な議論がされていない).(7) 蛭子・原岡・金子・落合・佐々木・吉田が発見した,ある3変数のFucks型微分方程式に付随する接続問題を考えたい.

Causes of Carryover

コロナ禍が収束していないために,殆どの出張計画を実行することが出来なかったために次年度使用額が生じた.コロナ禍が沈静化すれば出張計画を順次実行するという使用計画である.

  • Research Products

    (2 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Yet another proof of Ramanujan's ${}_1\psi_1$ sum2023

    • Author(s)
      Katsuhisa Mimachi
    • Journal Title

      Proc. Amer. Math. Soc.

      Volume: ― Pages: ―

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Dotsenko-Fateev 方程式の解に付随するモノドロミー表現 とその既約性について2022

    • Author(s)
      Katsuhisa Mimachi
    • Organizer
      琉球超幾何ワークショップ 2022
    • Invited

URL: 

Published: 2023-12-25  

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