2023 Fiscal Year Research-status Report
ジャンプを伴う拡散過程の均質化問題-標本路の分解とそれに基づく尺度変換の視点から
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22K03340
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
富崎 松代 奈良女子大学, その他部局等, 名誉教授 (50093977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 稔大 関西大学, システム理工学部, 教授 (30285332)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 均質化問題 / 拡散過程 / 非局所型ディリクレ形式 / 尺度変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
マルコフ過程の標本路の連続部分と不連続部分に対し、これまでと異なる尺度変換を用いて極限過程の計算を試みたが、興味ある新しい結果を得るまでには至っていない。今後も検証を続行する。
正値連続加法的汎関数の空間の位相について、測度のクラスを広げて検討を進めた。スムース測度のクラスについて、適切なnestを選び、そこに制限された測度の列に対してある条件を課すことにより、対応する正値連続加法的汎関数の列が広義一様収束することを証明した。測度が密度を持つ場合には、更に弱い条件の下で、同様の結果を得ることができた。一次元拡散過程や、それと球面ブラウン運動との斜積拡散過程においては、スムース測度が密度を持たない場合でも、対応する正値連続加法的汎関数を局所時間を用いて表現できる。それにより、測度の列が漠収束するという極めて弱い条件のもとで、対応する正値連続加法的汎関数の列の広義一様収束を示すことができた。
退化と発散を伴うポテンシャルをもつ多次元拡散過程について、収束の様相の検証を行った。容量ゼロの集合に収束する場合を含んでおり、その集合を回避して拡散運動を続ける場合と運動が分断される場合があることが2022年度の研究で分かっていた。2023年度は、ポテンシャル項を含む運動を、ファインマン-カッツ理論に基づいてL^2半群の表現としてとらえなおし、それが強収束するための条件について考察した。その考察の結果として、対応する正値連続加法的汎関数の列が確率収束することが、L^2半群の強収束の鍵であることを証明した。これにより、極限過程において、容量ゼロの集合を回避して拡散運動を続ける場合の様相が解明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Martingale 問題アプローチに関して、これまでと異なる尺度変換を用いて極限過程の計算を試みたが、興味ある新しい結果を得るまでには至っていない。しかし、標本路の時間変更の基盤となる正値連続加法的汎関数列について、その収束条件などの考察は進展している。本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
拡散部分のみからなる確率過程、ジャンプ部分のみからなる確率過程に対し、その運動の時間と空間の尺度変換が確率過程の特性量に与える影響について再度検証する。この検証結果を用いて、均質化問題に取り組む。
2023年度に退化と発散を伴うポテンシャルをもつ多次元拡散過程について、L^2半群の強収束の立場から、容量ゼロの集合を回避して拡散運動を続ける場合の様相を解明した。ここで用いた研究手法は、均質化問題への解析的なアプローチになりえると推測している。幾つかの例を通して、その推論を検証する。
一次元拡散過程から広義拡散過程へ、そして、広義拡散過程から双一般化拡散過程へと確率過程の枠が拡大していくが、これは、特性量の列の極限から自然に生じる拡大の形である。これを解析的な側面から検証することを試みる。
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Causes of Carryover |
研究会等がハイブリッドで開催される場合には、オンラインでの参加を優先した。このために研究会等参加旅費が残額となった。残額は翌年度の参加旅費と合わせて使用する。
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