2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K03341
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 俊彦 九州大学, 数理学研究院, 教授 (60314978)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 作用素環 / 群作用 / エルゴード理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は作用素環の自己同型の研究に関連して、エルゴード理論における群作用の研究を行った。作用素環の典型例はエルゴード理論からくる同値関係から構成される。すると自然に同値関係を保存するような自己同型の集合である充足群とその正規化群が自然に現れる。 これは作用素環の自己同型とも密接に関連し、実際カルタン代数を大域的に不変にする自己同型とみなせる。すると自然に充足群の正規化群への群作用が興味の対象となり、分類理論が考えられる。実際この方面ではConnes-Kriegerの仕事に始まって、Bezuglyi-Golodetsなどが群作用の分類結果を得ている。ただしこれらの証明はエルゴード変換の型によっていろいろ場合分けが必要であり、証明全体も複雑でなかなかわかりにくい。他方作用素環の自己同型の分類については、私によって単射的因子環の群作用の分類の統一的な証明が得られており、この手法をエルゴード理論の設定でも適用することが可能ではないか、と考えるのは自然である。そのための必要な道具はConnes-Kriegerや、濵地-押川などによってすでに整備されていたので、それらの成果を利用して、エルゴード変換の充足群の正規化群への離散従順群の作用の統一的な分類に成功した。分類は、ある種の正規部分群とエルゴード変換から自然に生じる流れ上に定義される基本準同型で記述される。単射的因子環の場合重要になるのはロホリン型定理と自己同型群のあるクラスの解析的特徴付けであるが、この場合も同様で キーになるのは、ロホリン型定理と、充足群の解析的な特徴付けである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
群作用に関する新たな結果を得ているため
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Strategy for Future Research Activity |
カルタン部分環を大域的に固定するような群作用の研究を進めている。またテンソル圏の作用素環への作用を進めていく
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Causes of Carryover |
これまでの科研費の繰り越し分があったため、そちらを優先的に使用したため。 次年度以降は、出張、招聘などの他、私が世話人を務める予定の研究集会などでも 使用することを予定している。
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Research Products
(2 results)