2023 Fiscal Year Research-status Report
割引因子を持つ確率制御問題に対する最適軌道の相転移と割引因子消滅極限
Project/Area Number |
22K03343
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
市原 直幸 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70452563)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 確率的変分問題 / 粘性ハミルトン・ヤコビ方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き,本年度は確率的変分問題に付随するエルゴード型粘性ハミルトン・ヤコビ方程式の一般化主固有値の漸近挙動について考察した.具体的には,エルゴード型粘性ハミルトン・ヤコビ方程式のポテンシャル項に含まれる摂動パラメータが無限大に発散する場合に,パラメータの関数としての一般化主固有値(以後スペクトル関数と呼ぶ)の増大度を評価した.前年度の研究では,ラグランジアンが優線形かつ狭義凸,ドリフト項が有界かつ内向き,ポテンシャル項が空間遠方で多項式減衰する場合にスペクトル関数の漸近挙動を調べ,スペクトル関数が狭義単調増加な部分と平坦な部分を持つための条件を導出した. 今年度は,より一般的なドリフト項とポテンシャル項に対してスペクトル関数の増大度を評価するための理論的枠組みを模索した.その結果,ドリフト項とポテンシャル項のバランスをうまくコントロールするための関数を導入することにより,これまでに扱うことのできなかった様々なクラスの関数に対してスペクトル関数の漸近挙動を調べることができた.これにより,指数型のドリフト項とポテンシャル項を持つ場合のスペクトル関数も統一的に扱ことが可能になった.さらに,必ずしも優線形とは限らないラグランジアンに対して上記の結果を拡張できるかどうかを調べ,エルゴード型粘性ハミルトン・ヤコビ方程式のハミルトニアンがある構造条件を満たせば類似の議論が適用可能であることを示唆する結果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エルゴード型粘性ハミルトン・ヤコビ方程式のハミルトニアンが必ずしも優線形とは限らない場合のスペクトル関数の漸近挙動を完全に特徴付ける予定であったが,予想が正しいことを示唆する結果を得たものの数学的な証明にまで至らなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
前項で述べた課題を解決する.また,エルゴード型粘性ハミルトン・ヤコビ方程式の一般化主固有値に対する表示公式が得られるかどうかを検討する.
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Causes of Carryover |
物品購入の際に若干の繰越金が生じた.翌年度分の物品費として使用予定である.
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