2022 Fiscal Year Research-status Report
領域摂動に伴う流体力学の基礎方程式の解の漸近挙動の解析
Project/Area Number |
22K03370
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
牛越 惠理佳 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (20714041)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | ナビエ・ストークス方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度においては,時間依存領域上でのナビエ・ストークス方程式の初期値境界値問題における弱解の周期解の存在について考察を行った. ナビエ・ストークス方程式の本格的な数理解析は,1934年のLerayによる研究より始まる.それ以来,同方程式の数理解析の研究分野は,様々な方面へ発展がなされ,その中でも,時間依存する領域上における解析は,森本(1971),井上-脇本(1977)や宮川-寺本(1982)などを始めとして,近年では,Faarwig-小薗-Wegmann(2019)や,Farwig-津田(2022)などの研究が展開されている.さらに一方,時間周期解に関する話題についても,Kanierl-Shinbrot(1967),宮川-寺本(1982)や岡部(2011)など,これまでに非常に多くの研究成果がある.ここで,時間周期解の存在保証について考察する為には,対流項の制御が問題となっている.これについて,宮川-寺本(1982)においては,境界値の勾配のL^2ノルムの大きさに制限を加えることで,時間周期解の存在を保証していた. そこで,本研究では,宮川-寺本(1982)の条件を緩和することを目的に研究を行った.具体的には,時間依存する領域上において,「大きな境界値」に対する時間周期解の存在を保証する議論を行っている.本問題においては,時間依存する領域上の方程式を固定領域に引き戻し議論する必要がある.またその際,ナビエ・ストークス方程式特有の非圧縮条件を保存した保則変換を用いることが重要であり,固定領域に引き戻された複雑な方程式の扱いが求められる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度考察した時間依存領域上でのナビエ・ストークス方程式の初期値境界値問題における弱解の周期解の存在については,境界値の大きさの緩和に部分的に成功した.しかし,コロナ感染防止の観点から,研究打ち合わせなどを見合わせる必要があったことから,より詳細な議論を進めていく必要がある.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度考察した,時間依存領域上の大きな境界値に対するナビエ・ストークス方程式の時間依存周期解について得られた結果について,より詳細な議論を行い,論文に纏め投稿することを目標とする.
|
Causes of Carryover |
コロナ感染防止の観点から,研究集会への参加や共同研究者との研究打ち合わせを見合わせたケースが多かった.来年度においては,今年度解析した結果について,積極的に研究集会などで発表する為の経費として執行する予定としている.
|