2023 Fiscal Year Research-status Report
The mathematical study of the Feynman path integrals and its applications to QED and quantum information theory
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22K03384
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
一ノ瀬 弥 信州大学, 理学部, 特任教授 (80144690)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 制限Feynman経路積分 / 量子連続測定 / 量子電磁力学 / Feynman 経路積分 / Feynman propagator |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の研究課題の目的は、Feynman経路積分の数学的研究と、その量子電磁力学・量子情報理論への応用である。 令和5年度の研究において、以下の研究成果を得た。 (1) 研究代表者は令和3年度と4年度の研究において、粒子の位置の時間連続的な量子測定を、制限Feynman経路を用いて数学的に厳密に定式化した(Osaka J. Math.2023)。一方、制限Feynman経路の定式化の方法は現象論的であり論理的でなかった。そのため、その定式化の正当性を与えることが従来から問題となっていた。研究代表者は令和4年度と5年度の研究において、Neumannの射影公理とFeynmanの公理の各々から、自然に制限Feynman経路積分が導出されることを示した。この研究成果を数理物理学の国際誌に発表した(Rev. Math. Phys. 2024)。 (2) 研究代表者は研究計画調書の令和5年度の計画の通り、量子電磁気学の経路積分による定式化の研究を行なった。研究代表者が過去に研究したDirac方程式に対する経路積分(2014,2018)を修正し、(1) 電子がフェルミオンであること、(2) 「電子は未来方向」・「陽電子は過去方向」のみに進むこと、この2つを考慮した経路積分を定義し次の結果を得た。特別な場合には(Compton散乱)、この経路積分の摂動は一般的に用いられている量子電磁気学の摂動と一致することを示した。現在結果の一般化を研究している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書の令和5年度の計画の通りに、(1) 電子がフェルミオンであること、(2)「 電子は未来方向」・「陽電子は過去方向」のみに進むこと、この2つをを考慮した経路積分を定義し、特別な場合に(Compton散乱)Dysonによって定式化された標準的な量子電磁力学と一致していることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度においては、研究計画調書の計画の通り以下の研究を行う。 令和5年度の研究で得られた「特別な場合での量子電磁気学に対するFeynman経路積分の結果」が、「一般的な量子電磁気学の結果」にも適用できることを示す。主な研究費の使用として、国際・国内研究集会の参加のための旅費、研究に関する図書の購入に充てる。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの蔓延のため、国際・国内学会が中止され、又他の研究者との交流も中止せざるを得なくなった。この理由で旅費を使用できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度より、コロナウィルスの蔓延が収まり国際・国内研究集会が開催され出したので、研究会に積極的に参加し、研究課題達成のために努 力したい。
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