2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K03385
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡部 考宏 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (00626872)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 非圧縮ナビエ・ストークス方程式 / Helmholtz-Weyl分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
3次元の滑らかな有界領域が時間に応じて変化する状況下における、Helmholtz-Weyl分解の領域依存性について解析を行い、その応用として非斉次境界条件下における非圧縮Navier-Stokes方程式の時間周期解の構成を行った。 滑らかな有界領域において、ソレノイダルベクトル場は、渦なしの調和ベクトル場と回転のベクトル場とに分解されることが知られており、近年ではKozono-Yanagisawa(2009)により境界条件を加味したL^r空間での分解定理が得られている。また、この分解定理は、非斉次な境界条件を課した非圧縮Navier-Stokes方程式の定常及び時間周期問題に対して有効であることが知られている。一方、領域が時間によって動く場合には、Helmholtz-Weyl分解の領域依存性が課題となる。 分解定理における調和ベクトル及びベクトルポテンシャルは、ある楕円型方程式系にしたがっていることに着目すると、分解定理の領域依存性の問題は、本質的に楕円型方程式系の解の領域依存性、パラメータ依存性の問題へと帰着される。この方面の解析については、Hadamard変分公式の解析におけるアプリオリ評価を用いたFujiwara-Ozawa(1978)の手法が有効であり、実際、調和ベクトル場の解析に適用できる。しかし、ベクトルポテンシャルが満たす方程式系は、非自明なNull spaceを持つため、上記の手法は適用することができない。このため、新しい手法を確立し、ベクトルポテンシャルの領域依存性を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間依存領域におけるHelmholtz-Weyl分解の領域依存性の解明について成果を得ることができ、その応用として、非圧縮Navier-Stokes方程式の時間周期問題についての知見を得ることができた。本研究では、時間依存領域における流体の数学解析に対しての土台をあたることができたことは意義深いものと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
Helmholtz-Weyl分解の領域依存性の問題について、データの正則性や境界条件の観点からより詳細な解析をおこなっていく。また分解定理の非圧縮粘性流体の数理解析への応用を試みる。
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Causes of Carryover |
参加予定であった研究集会等の計画及び旅費の支出に変更があった為。今年度の国内研究集会及び国際研究集会への出張旅費として使用する。
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