2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis on Qualitative Properties and Singularities of Solutions to k-Hessian Equation and k-curvature Equation
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22K03386
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
滝本 和広 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (00363044)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | k-Hessian方程式 / k-曲率方程式 / 完全非線形偏微分方程式 / 境界値問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は次の研究を行った。 (1) k-曲率方程式 H_k[u]=f(u)g(|Du|) の境界爆発問題の解の境界付近における漸近挙動に関する研究を行った。これについては研究代表者による既存の結果があるが,f(u) が u→∞で u^p のオーダーで増大し,g(t) が t→∞で t^{-q} のオーダーで減衰する場合については,p と q から定める定数γを用いて,u(x) が x から境界までの距離 d(x)のγ乗の定数倍で上から評価でき,さらに d(x) のγ乗の(別の)定数倍で下からも評価できることが示されたに過ぎなかった。本研究では,比較する優解・劣解をより精密に構成することにより,境界爆発問題の解 u(x) の境界付近における漸近挙動の主要項における d(x) のγ乗の係数を正確に決定することに成功した。この研究をまとめた論文は Manuscripta Mathematica 誌に掲載された。 (2) 半線形 Poisson 方程式 Δu=f(u)(これは k-Hessian 方程式において k=1 という特別な場合に対応する)の境界爆発問題において,f(u)=u^p+αu^q のときの解 u(x) の境界付近における漸近挙動については,これまでの研究により第 2 項まで求められていた。研究代表者は,Yuxiao Zhang 氏(広島大学)との共同研究により,漸近挙動の第 3 項を求めることに成功した。漸近挙動の第 2 項は第 1 項の距離関数 d(x) 倍のオーダーであるのだが,ある状況においては第 3 項は第 2 項の d(x) の分数べき倍のオーダーとなることが興味深い点である。この研究をまとめた論文を執筆し,学術雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は主に k-Hessian 方程式,k-曲率方程式の境界爆発問題の解の境界付近における漸近挙動について研究を行ったが,新たに興味深い事実を得ることができた。また,k-Hessian 方程式に対する外部 Dirichlet 問題,および Yuxiao Zhang 氏(広島大学)との共同研究による半線形 Poisson 方程式の境界爆発問題の解の高次漸近展開(いずれも次年度に継続)についても研究が進展しており,本年度はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本年度に引き続き,k-Hessian 方程式に対する外部 Dirichlet 問題の研究,および半線形 Poisson 方程式の境界爆発問題の解の高次漸近展開の研究を行う。その後は k-Hessian 方程式に対する Bernstein 型定理に関する予想の解決に向けて努力する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生したのは,コロナ禍により出張が制限され,特に海外出張がキャンセルになったために,旅費支出額が想定していたよりも少なくなったことが原因である。次年度はアメリカ合衆国への海外出張を予定しており,コロナ禍も落ち着いてくると思われるので,次年度交付額と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(3 results)