2023 Fiscal Year Research-status Report
変分問題、最適化問題と非線形偏微分方程式の総合的研究
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22K03389
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
倉田 和浩 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (10186489)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 変分問題 / パターン形成 / 非線形シュレディンガー方程式 / 凝集現象 / 漸近挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、様々なパターン形成問題に付随する非線形楕円型境界値問題として現れる定常問題の解の構造と領域との関係を精密に解析することを1つの目的としている。 主に、コンパクトなメトリックグラフ上での非線形楕円型方程式の解の構造に関して研究を推進し、いくつか研究の進展を得ることができた。1つは、大学院生の李雷氏との共同研究で、磁場効果の入った非線形シュレディンガー方程式に付随する変分問題の解の存在と最小エネルギーの反古典極限における漸近展開公式を得ることに成功した。これは、以前の私と柴田将敬氏(名城大)の磁場効果がない場合の結果の第1近似部分の一般化に相当する結果である。 次に、コンパクトメトリックグラフ上でのKeller-Segel系の走化性数理モデルの定常問題の研究に取り組み、付随する変分問題のエネルギー最小解の凝集点の位置と、対応するグリーン関数の最大値に関する最適化問題との関係を発見した。メトリックグラフのネットワーク構造がグリーン関数に反映されて、グリーン関数を具体的なメトリックグラフに対し計算することは可能であり、グリーン関数の最大値の最適化問題を解くことができる。これにより、解の凝集点の位置が、ネットワーク構造からどう決まるのかを解明した結果となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンパクトメトリックグラフ上の様々な非線形問題の定常解の構造が、メトリックグラフのもつネットワーク構造から、いかに影響を受けるのか、パターン形成問題の重要な例でもあるKeller-Segel系において明らかにすることができ、順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後とも、さらに、コンパクトメトリックグラフ上での固有値最適化問題や拡散付きロジスティック方程式の解の構造の研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
まだコロナ禍の影響もあり、旅費及び謝金に使用が計画より少なくなったため。 次年度に、旅費及び謝金として活用する予定である。
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