2023 Fiscal Year Research-status Report
セル・オートマトンが生成するフラクタルの分布関数による分類
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22K03435
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
川原田 茜 京都教育大学, 教育学部, 講師 (70710953)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | セル・オートマトン / フラクタル / 特異関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は2状態セル・オートマトン(CA)の軌道に関する結果が得られたので、今年度は3状態以上の多状態CAの軌道に関する研究を進めた。 CAをフラクタル生成器として用いる場合、単一のセルのみを正値で与える初期値、single site seedからの軌道を考える。2状態CAの場合には各セルの取りうる状態が0か1なので、single site seedにおけるseedは状態1になることが一意に決まる。しかし状態数が3以上のCAにおいては、seedとなりうる状態の候補が複数個出てくる。例えば、3状態CAでは各セルの取りうる状態の候補が0, 1, 2の3つなので、seedの候補は1か2の2択である。4状態CAでは各セルの取りうる状態の候補が0, 1, 2, 3の4つなので、seedの候補は1か2か3の3択である。このようにCAの状態数が増えていくと、seedの候補も増えていってしまい、考えなければならない軌道の数が増大していってしまう。 そこで状態数が増えたときに考えるべき軌道を絞り込むことができないか考え、今年度は以下のような結果を得た。線型CAの初期値single site seedからの軌道は、seedが1の軌道のみを考えれば十分であることを証明した。以下の3つの場合に分けて証明している。まずCAの状態数が素数の場合、それらの軌道はseedによらず全て同型になることを示す。状態数が合成数でseedが状態数と互いに素の場合、それらの軌道はseedを取り替えても同型になることを示す。状態数が合成数でseedが状態数と互いに素でない場合、その軌道にはそれ未満の状態数で同型となる軌道が存在することを示す。これら3つの場合を統合すると、3以上の任意の状態数の任意のseedからの軌道は、いずれかの状態数のseedが1の軌道と同型になることが言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
任意の次元における線型多状態CAの初期値single site seedからの軌道について、考えるべき軌道の数の絞り込みに成功したため。 またその結果を論文にまとめることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた結果により、3状態以上の多状態CAの軌道について分類を行う準備が整ったと言える。次年度はさらなる一般化を進めるとともに、非線型CAに対する研究も進めていきたい。
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Causes of Carryover |
予定していた国際研究集会(1件)、国内研究集会(3件)への参加を取りやめたため。 次年度の国際研究集会と国内研究集会への参加旅費として使用予定。
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