2023 Fiscal Year Research-status Report
データ空間上の測地距離およびその変換に着目した統計解析
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22K03439
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 景 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (90465922)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 幾何学的データ解析 / データ解析 / 機械学習 / 曲率 / 多様体学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,本研究により提案されたデータ集合の近傍グラフおよび計量錐を用いた距離変換によるデータ解析手法について,国際会議International Congress on Industrial and Applied Mathematics (ICIAM2023),Boston-Keio-Tsinghua Wokshop 2023で口頭発表し,また日本経済政策学会第80回全国大会において招待講演を行った.さらに,計量錐にデータグラフ構造を埋め込むことにより,データの階層構造を抽出する新し手法を提案し,英単語辞書データのWordNetで実際に解析を行った.その上で計算機代数ソフトウェアを用いて手法の妥当性の理論証明を行った.その得られた成果については,国際学術誌Mathematicsにおいて竹原大翼氏との共著論文として発表した.その一方で,心内辞書構造に関する折田充氏らの語彙構造研究グループとの共同研究においては,語彙サイズが異なる語学学習者の間でどのように心内辞書が異なるのかについて品詞ごとに詳細な調査解析を行った結果を学会発表および論文として発表した.さらに,拡散モデルによる画像生成を通常用いられる正規ノイズ以外のノイズを用いて実装する手法に関する海老澤優氏との研究,行列式点過程を用いたグラフのランダム生成の困難性に関する鴨志田陸氏との研究,Shapley Flowモデルを用いた欠測データの機械学習予測への影響の説明に関する風呂井啓人氏との研究のそれぞれについて,得られた知見と研究の課題について,IBIS2023において共同での学会発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画の2年目にあたる本年度は,昨年度の研究立ち上げにより構築した研究環境および人的ネットワークを発展させる形で研究を進めた.昨年度London School of Economicsを長期訪問してWynn氏との共同研究として始めた複数の研究テーマについて,引き続きブラッシュアップしたうえで論文執筆を続けており,その一方でWasserstein距離に関する新たなメンバーとの共同研究も開始した.また,この2年間で得られた成果を,複数の学会発表と学術論文として発表することができた.以上のことを踏まえて,本研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度ということで,本研究で得られた成果を多くの学会発表および学術雑誌への論文として公表し,周知につとめる.また,研究の発展として,集中不等式を用いた機械学習の精度評価について,幾何学的データ解析を用いてより実用的な理論評価を構成することを目指す.一方で,拡散モデルによる画像生成やChatGPTなどの言語生成モデルについても,その実世界における重要性を鑑みて,幾何学的データ解析手法を応用できる可能性について探る.
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Causes of Carryover |
本年度は当初の予定をやや上回る支出があったが,2022年度からの次年度使用額が多かったためその分が未使用額として残った.来年度は未使用額を用いて研究補助者を雇用する予定である.
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