2023 Fiscal Year Research-status Report
有効模型データベースを用いた機能性物質の探索と設計
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22K03447
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
是常 隆 東北大学, 理学研究科, 教授 (90391953)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / 有効模型 / 対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
有効模型のデータベース構築に関する技術開発およびそのデータを用いた物理量の計算に向けた技術開発を行った。有効模型構築データベース構築に関しては、まず、昨年度開発した対称性を用いた有効模型構築手法を広く利用されている第一原理計算コードquantum ESPRESSOにマージするなどの開発を行った。また、強相関効果を考える上で重要になるクーロン相互作用の取り扱いに関しては、RESPACKと呼ばれるコードの汎用性を上げるため、wannier90との接続を可能にするコードの開発を行った。これらの開発は我々が開発した技術を広く利用可能とするものであり、当該分野の発展に大きく貢献するものと考えている。一方、有効模型を用いた物理量の計算手法としては、ワニエ有効模型から不規則合金を扱うコードの整備も進めている。特に、解析接続を用いて電気伝導度の計算を行う手法について開発を行い、絶対零度の計算と比較を行うとともに、過去の研究との比較検証も進めている。 他にも、強磁性体において、うまくワニエ基底をとることで、磁化の成分を抽出する手法の開発を行った。これは有効模型に物理的解釈を与えるものであり、また、有効模型の中で磁化の回転を行うことを可能とするものである。実際、有効模型の中で磁化を回転させることで磁気異方性の計算が効率的に行えることを実証した。現在、本手法のデータベース上の物質への適用も進めており、強磁性体の物質探索へと繋げていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対称性に関するコードやクーロン相互作用に関するコードなどの開発、整備が進み、公開して広く利用可能な状態まで持っていくことができた。これらのコードは既に外部の研究者にも利用されておりフィードバックを受けた整備も進めている。物理量の計算に関しても、電気伝導度や磁気異方性などの手法開発に進展があり、順調に研究が進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの開発をもとに、有効模型のデータベースの拡充とそれを用いた物質探索を推進していく。まず、データベース構築に関しては、クーロン相互作用の計算のハイスループット化とデータ構築を検討する。対称性を考慮したコードとの連携も視野に入れて開発を進めていき、データ構築を目指していく。また、不規則合金系のデータ構築についても検討を進める。 また、磁気異方性の計算などのデータベースへの適用などから物質探索についても進めていく。計算量が増えていくことに対しては、物質群を絞ることにより、より高度な計算の適用を進めるなどの対策も行っていく。
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Causes of Carryover |
予定より出張回数が少なかったため。次年度計算を加速させるための計算機購入に利用する予定である。
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