2023 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical studies on analog quantum gravity using superconducting Josephson circuits
Project/Area Number |
22K03452
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
畠中 憲之 広島大学, 先進理工系科学研究科(総), 教授 (70363009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石坂 智 広島大学, 先進理工系科学研究科(総), 教授 (10443631)
藤井 敏之 旭川医科大学, 医学部, 助教 (10615024)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アナログ量子重力 / 超伝導メタマテリアル / ジョセフソン伝送線路 / ソリトン / リバース・ドップラー効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)超伝導メタマテリアルにおけるホーキング輻射のリバース・ドップラー効果 超伝導メタマテリアル伝送線路を伝播するソリトンは,擬似的なブラックホールとして振舞い,ソリトンの位相の量子ゆらぎより生じた電磁波が擬似的ホーキング輻射として射出される.このため,ソリトンは動く光源とみなすことができるので,ホーキング輻射の観測においてドップラー効果を考慮する必要がある.また,メタマテリアルでは,負の屈折率のため電磁波の位相速度と群速度の進行方向は逆になる.これは,「光源(ソリトン)が観測点から離れれば,観測される周波数が高くなる」という通常とは逆のリバース・ドップラー効果を導く.したがって,観測された電磁波がリバース・ドップラー効果を示せば,ソリトンから射出された擬似的ホーキング輻射であると同定できる. (2)3波混合による擬似的ホーキング輻射 これまで,ジョセフソン効果の4次の非線形性に起因する4波混合パラメトリック増幅によりホーキング輻射の増幅を考察してきた.しかし,シグナル(ホーキング輻射)とポンプ(ソリトン)の周波数が近く,これらの分離が困難なため,ホーキング輻射観測の障害となっていた.そこで,超伝導非対称非線形素子を用いて3次の非線形性を導入し,シグナルとポンプの周波数が離れた3波混合を用いた新たな擬似的ブラックホールを考案した.さらに,ポンプ周波数が低周波数に制限されていたため,搬送周波数を有する非線形シュレディンガー方程式に従う包絡線ソリトンを用いてポンプ周波数を調整可能にした.これらの改良により,実験的観測可能性を高めることができた. (3)擬似的タキオンの創生 本研究の過程で,ホーキング輻射を取り扱った同じシステムで,タキオン場を再現できることがわかった.これにより,宇宙初期で起こったインフレーション期におけるタキオン凝縮による物質生成機構の検証が可能であることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度修正した計画通り,超伝導メタマテリアルの特徴である負の屈折率を積極的に考慮した研究を最優先に行い,ホーキング輻射のリバース・ドップラー効果というメタマテリアルならではの稀有な効果を見出すことができた.また,これまでのシステムを改良し,従来システムでは観測が容易でないホーキング輻射を飛躍的に改善する新たな擬似的ブラックホールの提案を行った.これらの成果は,国内学会(2件)と国際会議(3件)で発表し,2件の論文発表を行った.当初計画の2年目課題である「ホーキング輻射に対する摩擦効果」については,論文発表には至っていないが,重要な進展があった.それは,ホーキング輻射と同列に考えられる量子重力現象であるウンルー効果との関係である.ウンルー効果については,速報として国際会議(2件)で報告した.最終年度では,このホーキング輻射とウンルー効果の関係,ならびに本年度の副産物として得られたタキオンの成果を統合した研究を実施し,その成果発表を行う予定である.以上の通り,概ね研究計画通り進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,前年度研究項目である「ホーキング輻射に対する摩擦効果」を定式化し,成果発表を行う.そのポイントは.ホーキング輻射と同じ量子重力現象であるウンルー効果との関係を明らかにすることである.さらに,本年度の成果項目であるタキオンとホーキング輻射との関係も明らかにし,「新しい解釈に基づいたホーキング輻射のモデル」を確立する予定である. その後,当初計画通り,擬似的ホーキング輻射の特性を利用した量子情報技術を検討する.ホーキング輻射は,事象の地平線近傍において量子的なゆらぎから対生成した粒子(光子)の輻射である.したがって,その生成起源を持つ擬似的ブラックホールから放射されたホーキング輻射光は本質的に量子性を有し,そのパートナーホーキング輻射との間には量子相関がある.これらの特性を利用した量子テレポテーションなどを考察したい.また,量子情報技術を利用したホーキング輻射の観測も考えたい.例えば,微弱信号の増幅に有効な量子弱測定による弱値を利用した観測方法についても検討する.
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Causes of Carryover |
一昨年,分担者がやむをえない事情により研究から一時はなれたため,その配分額相当の予算を本年度も執行することができなかった.分担者はすでに復帰しているので,次年度は本年度までに使用できなかった予算40万円を数値計算用PC(MacBook Pro)の購入により執行する予定である.また,研究分担の内容を一部代表者が担当する修正を行ったため,最終年度の当該分担者への予算配分を代表者に振り替え,予定通り予算を執行する.
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