2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K03466
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
山形 浩一 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 特任准教授 (30743520)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 量子統計 / 局所漸近正規性 / 漸近表現定理 / 漸近ミニマックス定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
最も大きい目標であった漸近表現定理の証明の完成に至る。この定理は量子統計モデルの列が局所漸近正規性を有してかつ漸近D不変性という性質を持つ場合に、任意の量子的統計量の列を量子ガウス状態族の統計量に帰着できることを主張する。この定理は古典統計理論における漸近表現定理の量子統計への拡張となっているが、漸近D不変性を要求する点が古典統計との大きな違いである。漸近D不変性は決して特殊な条件ではなく、量子統計モデルを表現するヒルベルト空間が有限次元でかつI.I.D.モデル列の場合には必ず成り立つ。また非I.I.D.モデル列で漸近D不変性を持つような例も見つかっている。漸近表現定理の証明はフォン・ノイマン代数の位相の性質を積極的に活用することで実現した。
量子漸近表現定理を利用することで多くの統計的に重要な定理を導出することができる。実際我々は、量子漸近表現定理を用いて漸近ミニマックス定理や正則推定量の限界を導出することに成功した。これらの定理は漸近的な重み付き平均二乗誤差の下界が極限量子ガウスモデルの重み付き平均二乗誤差の下界である Holevo bound と一致することを主張している。この下界を我々は漸近表現バウンドと呼んだ。漸近表現バウンドはI.I.D.モデル列の場合はモデル列のHolevo bound と一致するが、非I.I.D.モデル列においては新規のバウンドとなっている。
この研究成果は査読付きの学術論文に掲載されることが決まっている。またこの研究成果とこれまでの量子統計に関する研究の経緯についての講演を大阪大学にて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最も大きい目標であった量子漸近表現定理の証明を完成させ、論文掲載も決まったので、十分に順調な進展であるといえる。量子漸近表現定理の応用として漸近ミニマックス定理などもすでに示されており、期待通りの威力を発揮している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針は、得られた量子漸近表現定理の応用を考えることである。漸近表現定理から多くの定理が誘導されることが期待でき、それらをできるだけ多く提案していく。またこれまでほとんど手を付けてこられなかった非I.I.D.モデル列の量子局所漸近正規性での応用を考えていく。
今回得られた量子漸近表現定理は非常に強力な結果であるが、いくつか未解決問題も残されている。例えば今回の理論で導入された漸近D不変性が何を意味しているのか、まだ十分には明らかになっておらず、さらなる理論展開の余地が残っている。これらの問題に様々な角度から取り組み明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
学術論文の掲載料が本年度にうちに必要だと想定していたが、アクセプトが次年度の4月になり、掲載料の支払いが次年度になったため。本年度に支払う予定だった論文掲載料は次年度に支払われる計画である。
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