2022 Fiscal Year Research-status Report
Nonlinear optics in metallic nanostructures via hydrodynamic drift-diffusion theory of electrons
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22K03488
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
落合 哲行 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (80399386)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 非局所応答 / 光整流 / 非線形光学 / 非エルミート / S行列 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、金属ナノ構造において、電子の流体力学描像により非局所応答を取り込んだ、2次の非線形光学効果の精密解析をおこなうことを目的としている。 初年度は金属ナノ構造における、非局所応答による光整流を数値計算にのせるための技術的な問題にトラップされた。非局所応答をまともにとりこむと、非線形光学効果で生じる静電ポテンシャルに、電磁波の縦波と横波、トーマスフェルミ遮蔽の寄与が混じりあう。定式化においては、縦波、横波を区分けすることで、明瞭で解析的な光整流の表式が得られた。しかし、数値計算上は物理量を計算する際に現れる積分において、この混ざり合いのために被積分関数の特異性が強くなる。そのため、数値計算の収束性が改善せず、大幅に時間をとられた。ここの精度が出ないと、ポテンシャル分布、電流分布の空間 profile についても問題を引き起こす。来年度はこれらの問題を解決し、次のステップへと進みたい。 一方、金属ナノ構造は光領域での吸収が顕著であり、非エルミート性が強くなる。この性質をつきつめて考えるため、複素周波数空間でもS行列を高精度に計算する方法を開発した。この方法では吸収と利得を平等に扱える。その副産物として、非エルミート表皮効果とレーザー発振の関連を明らかにした。またレーザー発振はそれほど構造の最適化をせずとも起こり得る。その時間反転プロセスを考えることにより、コヒーレント完全吸収を構造の最適化なしにデザインできることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画は上記の技術的問題により進展が遅れているが、光学系における非エルミート表皮効果に関する性質が当初予期していない成果として得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、光整流の技術的な問題を解決すべく多角的に検討する。混成をまともに取り扱う際の数値計算の安定化を模索するとともに、バルクと表面の寄与を分離する有効理論、DFTからの援用などについても検討する。また副産物として得られた非エルミート光学系の性質についても探索を進める。
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Causes of Carryover |
ワークステーションが当初見込みより廉価で購入できたため。旅費や科学技術ソフトウェアなどに充当する。
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Research Products
(6 results)