2023 Fiscal Year Research-status Report
Acceleration of understanding and prediction of laser-induced materials reformation by cooperated works of theory and experimental measurements
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22K03489
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
宮本 良之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 招聘研究員 (70500784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 善恵 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20509129)
大村 英樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (60356665)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 固体表面構造 / ZnO / 酸化グラフェン / レーザー還元反応 / 中間体 / レーザー脱離エネルギー / 時間依存密度汎関数理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は新規にZnO(001)面のレーザー照射ダイナミクスを検証した。光子エネルギーの高いレーザー照射の方がイオンへ印可できる運動エネルギーが少ないという興味深い予備実験の報告があり、それを解明すべくTDDFT計算を行った。実験に用いた試料の表面構造は原子スケールでは不明なので、先行文献による構造を仮定して行ったところ、予備的実験報告とは異なり波長の短い(光子エネルギーの高い)方がイオンへ付与する運動エネルギーが大きいという結果になっており、本年度も引き続きシミュレーション時間を延長して検証する。また、昨年度予定外の成果として報告した酸化グラフェンのレーザー還元プロセスのシミュレーションにおいて、還元するより低いレーザー強度においてepoxy基が準安定構造のC-O結合へ変換することを見出した。これはC=O結合と異なりC原子は他の3個のC原子と結合している。この構造はラジカルのように見えるが、興味深いことに水分子とは反応せず化学的には安定な性質を持っている。 分担研究者の大村は、レーザーパルスによる高密度エネルギー散逸過程を原子レベルで追跡できるフラグメントイオン計測装置を用いて、これまでにZnOを対象とした実験を行い非熱的なレーザーアブレーションが起こっている可能性を見出していた。本年度は、昨年度に整備したレーザーパルス照 射光学系を用いて同族物質である酸化マグネシウム(MgO)を対象とした実験を行い、MgOでは非熱的なレーザーアブレーションが観測されず、ZnO特有の現象である可能性が高いことが分かった。 分担研究者(石川)は昨年度改良したフロー照射ノズルを用い、形状不揃いのZnO粒子の1パルス照射毎の形状変化を追跡した。1パルス毎に増加する球状粒子の割合を調べたところ、第1パルス目の球状化割合が最も低く、第2パルス目以降に急激に球状化割合が増えていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に試みた計算対象(ZnO)は想像以上に電子軌道の多い計算対象であった。そのため、計算機資源の利用量が思いのほか多く、論文にまとめるほどのデータを蓄積するのに次年度までかかる見込みである。しかしながら、波長に依存したシミュレーション結果は得られつつあり実験的知見と比較可能と楽観している。一方、酸化グラフェンのレーザー照射の結果は当初予想外で、発生した中間体はラジカルの性質を有するはずなのになぜ長時間存在できるのか理由を模索していて時間を要した。これに関しては次年度初頭に論文に値するデータ蓄積ができる予定。 実験的には特段のトラブルはない。
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Strategy for Future Research Activity |
計算規模とスピードをもう一度見直し最終年度でまとまった計算結果を出せるよう工夫する。計算結果と実験による結果を照らし合わせて現象の解釈を行う。固液界面のデータを解析できるようなシミュレーションを試みる。実験の方は予定通り執り行う。
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Causes of Carryover |
いくつかの学会や研究打ち合わせがオンラインで済んだことと、消耗品購入量が予定より少なく済むなどの理由で次年度使用額が発生した。これらの金額は主に国内会議(オンサイト)の参加費や出張費、実験用消耗品の購入、論文の英文添削等のサービス代に用いる予定である。
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