2023 Fiscal Year Research-status Report
Semiclassical theory of wave packet dynamics in curved spacetime and its application to nonlinear responses
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22K03498
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下出 敦夫 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (20747860)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | スピントロニクス / スピンHall効果 / スピンNernst効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピンHall効果はスピン軌道相互作用を通じて電場と垂直にスピン流が流れる現象としてこれまで理解されてきており,電気的にスピンを注入する手段として注目を集めている.しかしながら,スピン軌道相互作用がある場合スピン流を一意的に定義することはできないため,その係数であるスピンHall伝導度がスピンHall効果の指標たりえないことは以前から指摘されてきた.昨年度までの研究を通じて,端に現れる電場勾配によってスピン密度が生じる現象として理解することができ,その係数 (スピン蓄積係数)がスピンHall効果の定量的な指標であることが明らかになった. 今年度はそのスピン蓄積係数を現実の物質で定量的に予測することを目指し,1. VASPを用いた第一原理計算,2. Wannier90を用いた最局在Wannier関数の構築,3. 得られた強束縛模型からスピン蓄積係数を計算するためのプログラム実装を行ってきた.現在までのところ,1.および2.については経験を積みよい結果が得られるようになったものの,3.については結晶の対称性と整合するスピン蓄積係数やスピンHall伝導度が得られていない.これはWannier90に実装された機能で出力されないスピンの行列要素の計算に問題があるためであると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究室の指導や講義の準備に時間をとられたため.
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Strategy for Future Research Activity |
Wannier90に実装された機能で出力されないスピンの行列要素を計算するためのプログラムを実装し,結晶の対称性と整合するスピンHall伝導度やスピン蓄積係数を得られるよう修正することを目指す.
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Causes of Carryover |
研究の遅れによって成果発表が十分にできなかったため.次年度は研究を進め,成果発表も行う予定である.
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