2022 Fiscal Year Research-status Report
強相関超伝導物質群におけるペア密度波が創造する新奇量子状態の微視的探索
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22K03504
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒澤 徹 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (10615420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桃野 直樹 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (00261280)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 超伝導 / ペア密度波 / 電荷密度波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、銅酸化物高温超伝導体と遷移金属ダイカルコゲナイドのNbSe2の超伝導状態で観測された超伝導を担うクーパー対が形成するペア密度波の起源を明らかにすることやペア密度波が作り出す量子現象の探索を目的としている。初年度は、超伝導転移温度よりも高温の正常状態で電荷密度波が形成され低温で超伝導になる2H-NbSe2と電荷密度波は観測されていないが超伝導になる2H-NbS2、Seの一部をSで置換した2H-NbSe2-xSx(x=1.0)の単結晶試料の育成を中心に行った。作製した結晶を用いて磁場下での電気抵抗の温度依存性についてそれぞれ調べた。 2H-NbSe2のゼロ磁場での電気抵抗測定の結果では、電荷密度波の形成による異常が高温側で確認でき、この異常は磁場により変化することがなかった。一方で、2H-NbS2の結果ではゼロ磁場と磁場下において共に電荷密度波による高温側での電気抵抗の異常は観測されることはなかったが、超伝導転移に伴う電気抵抗の低下する温度が磁場により低温側にシフトする結果となった。2H-NbSe2-xSx(x=1.0)の結果では、電荷密度波に関連した温度変化の異常が確認できたが、2H-NbSe2の結果と同様に磁場による変化は確認できず、低温での超伝導転移による電気抵抗の低下する温度が磁場により低温側にシフトしていた。 また、銅酸化物高温超伝導体におけるペア密度波に関して格子系が与える影響があるか調べるために、不足ドープ領域から過剰ドープ領域における単結晶試料の育成を行い、X線実験を行った。X線実験の結果からホール濃度の変化による結晶構造の変化はほとんど確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
STM実験を行うための遷移金属ダイカルコゲナイドの単結晶試料を作製することを中心に取り組み、STM測定が可能なサイズの単結晶試料を作ることが出来たが、当初計画していたSTM実験に取り組むことが出来なかったためを行うことが出来なかったため進捗状況を(3)やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に購入した排気ユニットを利用して、低温と高温での2H-NbSe2のSTM実験を行いペア密度波と電荷密度波の周期等の特徴を比較しそれらの関係を調べる予定である。また、電荷密度波が観測されていない2H-NbS2の超伝導状態でのペア密度波の有無を明らかにするためのSTM実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
初年度購入予定だったターボ分子ポンプの納期が未定だったために次年度に購入変更することになったため。
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[Journal Article] Fate of charge order in overdoped La-based cuprates2023
Author(s)
von Arx K.、Wang Qisi、Mustafi S.、Mazzone D. G.、Horio M.、Mukkattukavil D. John、Pomjakushina E.、Pyon S.、Takayama T.、Takagi H.、Kurosawa T.、Momono N.、Oda M.、Brookes N. B.、Betto D.、Zhang W.、Asmara T. C.、Tseng Y.、Schmitt T.、Sassa Y.、Chang J.
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Journal Title
npj Quantum Materials
Volume: 8
Pages: 7
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Single-domain stripe order in a high-temperature superconductor2022
Author(s)
Simutis Gediminas、Kuspert Julia、Wang Qisi、Choi Jaewon、Bucher Damian、Boehm Martin、Bourdarot Frederic、Bertelsen Mads、Wang Chennan N、Kurosawa Tohru、Momono Naoki、Oda Migaku、M?nsson Martin、Sassa Yasmine、Janoschek Marc、Christensen Niels B.、Chang Johan、Mazzone Daniel G.
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Journal Title
Communications Physics
Volume: 5
Pages: 296
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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