2023 Fiscal Year Research-status Report
カイラル構造を持つ金属間化合物における非相反電気磁気効果の観測とバンド構造の解明
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22K03517
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松田 達磨 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (30370472)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | カイラル構造 / バンド構造 / フェルミ面 / 単結晶 / 光電子分光 / トポロジカル |
Outline of Annual Research Achievements |
カイラル構造を持つ物質及び関連する物質の高純度結晶育成及び物性研究を推進した。昨年度、ドハース・ファンアルフェン効果測定により伝導電子の特性を明らかにしたTrX4 (Tr: Rh, Ir; X: Ge, Sn) について、よりフェルミエネルギー近傍の電子状態をあきらかにするため、早稲田大学の研究グループとの共同研究として、角度高分解の光電子分光実験を行い、フェルミ面のトポロジーとバンド構造を明らかにした。また、これらの物質の同組成異性体となるβ-IrSn4については、トポロジカル物質の可能性が議論されていることから、詳細な輸送特性と低温で発現する超伝導特性について研究を行った。 その他いくつかのカイラル構造を持つ物質の物性研究を行った。Y3Rh4Ge13については、X線回折実験結果の詳細な解析の結果、過去の研究報告とは異なるカイラル構造をとることをはじめて明らかにした。さらに、低温で発現する超伝導相について、過去の報告とはことなる超伝導相が存在する可能性を示した。関連物質であるSm3Ru4Ge13については、強相関電子状態の発現メカニズムを探るため、メスバウアー効果及びμSR実験を行い、Smイオンの価数状態について初めてミクロスコピックな視点から明らかにした。さらに、この系もY3Rh4Ge13と同様にカイラル構造を持つ可能性が高いことを見出した。 カイラル構造を持つ金属として、PdGa及びPtGaの高純度単結晶育成を行い、ドハース・ファンあるフェン効果測定を行った。バンド計算との比較により、複数の小さなフェルミ面の存在と、それらのフェルミ面の間の軌道交差が起きていることを明らかにし発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究全体として、当初の計画にある研究対象の研究を進展させつつ、新たな研究の展開を考え他の物質系の開発を行った。その結果、複数のカイラル物質系に研究対象を広げることに成功した。当初の研究計画にある、カイラル物質の非相反応答現象の研究については、試料の微細加工技術を用いた精密測定が必要不可欠であることが分かり、他大学の研究者との共同研究として進めることとした。研究対象を広げたことによる実験量の増加に加え、年度末に大学実験設備の改修工事の影響で実験ができない期間があったため、今年度の計画していた実験のうち一部を実施できなかったものの、全体としては、共同研究の広がりも含め研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題のポイントである、カイラル物質の一般的な電子状態の解明をめざし、可能な限り研究対象となる物質の開発をすすめる。それと平行し、輸送特性研究については、東北大学及び大阪大学の共同研究者等と微細加工技術を用いた精密測定を推進し、定量評価をめざす。また、これまで非磁性のカイラル物質を中心としてきた研究を磁性物質にも広げ研究をすすめる。これらの磁性物質については、磁気構造を明らかにするため、中性子線や放射光施設を用いた実験により、磁気的な対称性を明らかにした上で、輸送特性の研究をすすめる。
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Causes of Carryover |
当初計画において、輸送特性の精密測定を行うための「低温2軸回転プローブ」の作成にあたる予算145万円を計上していたが、初年度に製作会社の部品調達の困難と開発期間の問題から予算を2023年度に繰越を行った。2023年度はこの装置購入の遅れについて、実質的研究として学内外の共同研究を推進することで補い、装置開発については慌てずに業者と打ち合わせをすすめている。その結果、2023年度も装置購入費を繰越すこととなった。また、物質開発に必要な金属材料原料の購入についても、当初計画よりも効率よくすすんでいることに加え、貴金属材料の世界的高騰の影響を避けるために、大学内の研究室間で材料融通を受けた。これらの理由から当初予算計画との差額が生じた。 次年度以降、研究計画に支障のないように適宜予算執行を行う。
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Research Products
(23 results)
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[Presentation] 空間反転対称性の破れた反強磁性体 EuIr4In2Ge4の微細加工と電気伝導測定2024
Author(s)
横山旭, 仲地立, 本間佳哉, 仲村愛, 清水悠晴, 李徳新, 三宅厚志, 本多史憲, 青木大, 松田達磨, 大貫惇睦, 木俣基
Organizer
日本物理学会 2024 年春季大会
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[Presentation] Ce3T4Sn13 (T = Co, Rh, Ir) のカイラル相における 4f 電子状態と Weyl-Kondo 半金属2023
Author(s)
岩佐和晃, 河村聖子, 村井直樹, 中島健次, J.-M. Mignot, S. Raymond, Paul Steffens, 松田達 磨, 青木勇二, 川崎郁斗, 藤森伸一, 山上浩志, 横山淳, D. T. Adroja, A. M. Strydom
Organizer
日本物理学会 2023 年秋季大会
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[Presentation] 2 価からずれた反強磁性対 Eu2Ga3Ir の電子 状態2023
Author(s)
大貫惇睦, 本間佳哉, 仲村愛, 青木大, 竹内徹也, 木田孝則, 萩原政幸, 金道浩一, 本 多史憲, 上床美也, 東中隆二, 青木勇二, 松田達磨
Organizer
日本物理学会 2023 年秋季大会
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