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2023 Fiscal Year Research-status Report

Nonlinear wave phenomena excited on vortex lines in quantum turbulence

Research Project

Project/Area Number 22K03518
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

永合 祐輔  慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (50623435)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Keywords低温物性 / 超流動 / 量子渦 / 量子乱流 / 揚力 / マイクロ・ナノデバイス
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、超流動中の量子渦糸における非線形波動状態およびエネルギー輸送機構の解明を目的とし、2023年度には量子渦生成検出のための装置機構部のテスト作製や、新たな渦生成装置の設計、作製を行った。
2022年度に3D光造形装置を用いて作製した光硬化性樹脂製の架橋梁構造マイクロ/ナノビーム(MB/NB)共振器について、低温での共振のQ値が低いという課題が残った。そこでQ値改善に向けて、スタイキャストを用いて試料固定を工夫し、振動の方向を変えた条件での低温真空測定など共振の様子について系統的に調べた。しかし、結果として有意なQ値の改善には至らなかった。
近年の数値計算研究で、物体が超流動流から受ける揚力の量子化とそれに伴う量子渦放出について明らかになった。そこで、前述の架橋MB/NB作製手法を応用した実験の可能性について検討し、新たな渦生成実験計画を立てた。3D光造形装置を用いた翼型の架橋構造や、ひずみゲージに使用される合金線の架橋構造を設計し、共振測定やひずみ抵抗測定による量子化揚力の観測実験について計画準備した。予備実験として直径約10μmのニクロム線やコンスタンタン線の低温での電気抵抗の温度依存性を測定した。
これまでに1μm幅スリット構造を用いたヘルムホルツ共鳴セルによる超流動流れの実験において、単一ではなく複数の量子渦が同時に横切る多重位相スリップを観測している。そこで、このような現象が発生する原因を探り、かつ形状・サイズがよく制御された渦環を生成するための装置の開発を目的として、真円形状のマイクロサイズ細孔構造を組み込んだヘルムホルツ共鳴セル実験の計画を進めた。2023年度は、3D光造形装置で直径1μmオーダーの様々な真円形状細孔構造物を作製し、形状観察、ヘリウムガスによるフローテストによって、本装置で細孔の形状とサイズをどの程度制御できるかについて調べた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

架橋構造のマイクロ/ナノビーム(MB/NB)共振器について、当初は数値計算を行った上で構造改良により共振Q値の改善を試み、ナノサイズの共振器作製を進める予定だったが、Q値改善には至らなかった。そのため、本装置作製プロセスを踏襲して新たな渦生成装置(量子化揚力検出装置)の開発へ計画を変更し、共振とひずみ抵抗の見積もりおよび装置設計から取り組み始めた。
ヘルムホルツ共振器による超流動流れ実験に関しては、細孔構造を作製し、その形状とサイズについて系統的に調べるところまで進捗した。ただし、形状の精度やフローレートにおいて、予想よりは劣る結果であったため、さらなる作製条件の調整とテスト測定を要する状況である。
以上より、2023年度に新たな課題が上がり、一部新たな計画へと変更することになったことから、新計画に対してさらなる設計検討が必要になったため、本年度はやや遅れていると判断した。

Strategy for Future Research Activity

今後、量子化揚力に伴う渦生成の装置開発について、さらに具体的な実験セルと測定手法について詳細な設計を考え、光硬化性樹脂や金属線など多角的に材料および装置構造を検討した上で、装置開発を進める。共振法については、テスト試料を準備して低温真空中で動作テストを行う。ひずみ抵抗測定法については、ピエゾ素子を用いて金属線にひずみを印可する装置を準備し、低温でひずみ抵抗変化測定を行い、揚力検出の可能性について考察する。
細孔構造物を用いた渦環生成装置については、引き続き細孔構造の最適な作製条件を系統的に調べ、ガスフローテストを行ったうえで、条件が整った段階で超流動流れ実験実現に向けてセルの設計に取り掛かる。
上記の実験は、これまでに確立しているヘルムホルツ共鳴器を用いた超流動流れ測定を想定しているが、他の直流の超流動流れを作る装置についても検討し、状況に応じて設計、準備する。
また、熱励起が少ない超低温領域でこれらの実験が行えるよう、研究室において希釈冷凍機や3He冷凍機の環境準備が整ってきており、それに応じて将来的に1K以下の超低温下での実験が行えるよう計画、準備を進める。

Causes of Carryover

昨年度に価格高騰によりスペクトラムアナライザ購入に関して再検討していたが、より安価で使い勝手のよいポータブルのベクトルネットワークアナライザを見つけて購入したことで、金銭的余裕ができた。また、イギリスマンチェスター大学で開催の国際会議QFS2023に参加予定であったが、家庭の事情により参加できなくなったため、出張費用が余った。昨年度の研究結果により、新たな装置設計、作製計画に移行し始めたため、余分の費用は、基板のスクライビング装置や、その他装置作製に必要な材料、部品の購入を中心に充てる予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Presentation] Multiple Phase-Slip Phenomenon in 4He Superflow through a Well-defined Microchannel2023

    • Author(s)
      Tomoyuki Tani, Ryoma Wada, Kohei Kaiya, Yusuke Nago, Satoshi Murakawa, and Keiya Shirahama
    • Organizer
      2023 International Symposium on Quantum Fluids and Solids(QFS2023)
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] 制限空間中超流動ヘリウムにおける量子渦糸による多重位相スリップ2023

    • Author(s)
      白濱圭也、谷智行、和田龍馬、海谷航平、永合祐輔、村川智
    • Organizer
      第29回渦糸物理ワークショップ
  • [Presentation] マイクロ流路中ヘリウム4超流動流の多重位相スリップ現象2023

    • Author(s)
      谷智行, 和田龍馬, 海谷航平, 永合祐輔, 村川智, 白濱圭也
    • Organizer
      日本物理学会2024年春季大会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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