2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K03520
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
関 和弘 国立研究開発法人理化学研究所, 量子コンピュータ研究センター, 研究員 (40708533)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 量子多体問題 / 量子計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、量子コンピュータの研究開発が世界中で進められており、同時にその有効な利用法が模索されている。本研究は、量子多体系である量子コンピュータを用いた量子計算が、将来的に量子多体系のシミュレーションに有効に利用できる可能性に任せて、強相関電子系に代表される量子多体系のための量子計算手法の研究と開発を目的としている。その取り組みの一つとして、量子コンピュータを用いた計算により量子多体系の統計力学的扱いを可能にする、ミクロカノニカル集団のための量子古典ハイブリッド計算法を提案した。この方法は、与えられたエネルギーを近似的に期待値としてもつ状態(ミクロカノニカル集団に対応する純粋状態)を、時間発展させたランダム状態のフーリエ変換により得るという考えに基づいており、このフーリエ変換における時間積分範囲のカットオフに相当する時間パラメタの逆数がミクロカノニカル集団のエネルギー殻の幅を定めている。計算の具体的な手順としては、ユニタリデザインに基づき用意したランダム状態に関して時間発展演算子および時間発展演算子とハミルトニアンの積の期待値を量子コンピュータで計算し、それらの期待値に関する時間積分等の処理を古典コンピュータで行うことで、エントロピーや 温度等を得ることを想定している。スピン1/2ハイゼンベルク模型を例として、本提案手法で用いる量子回路の具体例やその古典シミュレーション結果を取りまとめて、論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子コンピュータを用いた計算により量子多体系の統計力学的扱いを可能にする量子古典ハイブリッド計算法を提案し、その提案を論文にすることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は古典コンピュータを用いたシミュレーションだけでなく、量子コンピュータ実機を用いた実証実験を取り入れて研究を推進したい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症拡大防止の方針に倣い出張で使用する予定だった旅費を使用しなかったため。次年度は情報収集と成果発表を目的とした出張を行い、そのための旅費を次年度使用額の主な使い道にすることを計画している。
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