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2023 Fiscal Year Research-status Report

魔法角捩れ三層グラフェンにおける超伝導対称性の解明

Research Project

Project/Area Number 22K03523
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

田縁 俊光  東京大学, 物性研究所, 助教 (10771090)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords捩れグラフェン / 超伝導 / メソスコピック
Outline of Annual Research Achievements

結晶方位をある角度だけずらして積層させる捩れグラフェンは、超伝導に代表される興味深い物性が発見されて以来爆発的に研究が進展している。捩れ角が魔法 角と呼ばれる角度をなすときに形成される孤立した非常に狭いバンド幅を持つ平坦バンドがこれらの物性の舞台となる。積層の枚数が増えるにつれて積層の自由 度が増え、特に魔法角捩れ三層グラフェンMATTGにおいて発現する超伝導はペアリング対称性がスピン三重項状態を形成している可能性が示唆されており、注目されている。本研究の目的はこのMATTGのペアリング対称性の解明である。
今年度はcut-and-stackと呼ばれる試料作製プロセスを行うためのシステムを準備した。これは従来のグラフェン薄膜を機械的に破って切断する手法とは異なり、AFMチップによる陽極酸化あるいはパルスレーザーによって切断することで試料に加わる歪みを小さくし、より良質な試料を作製する手法である。陽極酸化とパルスレーザーの両方の方法を検討したが、実行可能かつ汎用性が高いと考えられるパルスレーザーを用いた切断システムの構築を目指した。Si基板上の原子1層分の物質切断を目的とする既製品は存在しないため、先行研究からサブナノ秒のマイクロチップレーザーを電動ステージ付き顕微鏡に組み合わせたシステム構築を進めている。
また、類縁物質のグラファイト薄膜について低温強磁場下輸送測定を行った。その結果はPhysical Review B誌にて発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

高品質デバイス作製に必要な原子層薄膜切断の方法としてパルスレーザーと電動ステージ付き顕微鏡を組み合わせたシステム構築を進めた。原子層薄膜を任意の形状に切断する方法としては、AFMカンチレバーを用いた陽極酸化の方法と繰り返しパルスレーザーを顕微鏡下で照射する方法が既に報告されている。まずAFMを用いた陽極酸化を検討したが、所有するAFMシステムでは電圧印加プローブが付属しておらず、新たに自作するためのスペースも十分でないこと、またカンチレバーを任意の形状に操作することが出来ないといった問題があった。一方、パルスレーザーの方法は原子層薄膜を切断であることから必要なパワーは大きくないこと、使用可能な顕微鏡と電動ステージは所有していること、より汎用性が高いといった理由から、このシステム構築を目指した。この目的に則した既製品は存在しないため、目的の材料に適した波長、パルス幅、繰り返し数、筐体サイズを満たすスペックのレーザー光源を先行研究を参考にしながら慎重に選定を進め、実際に導入を完了した。
また、評価の方法として低温で磁場中輸送特性を用いるが、同様の方法を用いて類縁物質のグラファイト薄膜を用いて低温高磁場下での輸送測定を行い、その結果を国際誌Physical Review Bにて発表した。

Strategy for Future Research Activity

導入したレーザー光源を使って引き続きシステム構築を進めていく。具体的には導入したマイクロチップレーザー光源を顕微鏡にアラインメント機構を備えた形で組み込み、スポットサイズの調整を行う。ターゲットとなる薄膜はSi基板の上に貼り付けられた形で存在するため、パルスレーザー強度は薄膜は切断するが基板は切断しない大きさが望ましい。そこで適切なフィルタを選定し、強度の最適化を行う。こうしてターゲットにホールが開けられるようにし、次に電動ステージと組み合わせることで任意形状に切り出せるようにする。切り出した試料を使ってポリマーを使った原子層薄膜積層システムを用いて目的のホモ積層構造を作製し、その後実際に高品質な試料作製が実現するか輸送特性評価から確認する。さらに、ヘテロ構造試料を利用した化学ポテンシャルの測定や、面内磁場中測定による超伝導特性評価を進める予定である。

Causes of Carryover

導入したレーザー光源は本来減光フィルタを組み合わせて使う想定であるが、顕微鏡システムとして組み込んだ時に必要なフィルタ性能は様々なテストをしながら決定した方が最適であると考えられるので、細かいパーツの購入は次年度に行うことにした。

  • Research Products

    (3 results)

All 2024 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Magnetic-field periodic quantum Sondheimer oscillations in thin-film graphite2023

    • Author(s)
      Taen Toshihiro、Kiswandhi Andhika、Osada Toshihito
    • Journal Title

      Physical Review B

      Volume: 108 Pages: 235411

    • DOI

      10.1103/PhysRevB.108.235411

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 薄膜グラファイトにおける磁場に周期的な量子Sondheimer振動の温度依存性2024

    • Author(s)
      田縁俊光、Andhika Kiswandhi、長田俊人
    • Organizer
      日本物理学会
  • [Presentation] グラファイトにおいて薄膜デバイス化がもたらす強磁場誘起電子物性2024

    • Author(s)
      田縁俊光
    • Organizer
      ISSPワークショップ「デバイス活用で臨む有機伝導体の未来」
    • Invited

URL: 

Published: 2024-12-25  

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