2023 Fiscal Year Research-status Report
破壊過程と流体輸送-データ同化・可視化によるアプローチ
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22K03542
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 伸一 東京大学, 地震研究所, 助教 (10756331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 明生 日本大学, 理工学部, 教授 (60297778)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 破壊 / 乾燥亀裂 / 輸送 / フェーズフィールドモデル / データ同化 / ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
水と粉の混合物が乾燥してできる破壊パターンは干上がった水田や水たまりなどで日常的に観測される。そのような破壊は亀裂と流体・熱輸送場が相互作用することで進展していくため、実験・理論の両面から物質内部で発生する流体・熱輸送場の動力学を理解することは亀裂の予測へ向けて重要な課題である。本研究は破壊パターンの実験データと数値シミュレーションを統合するデータ同化の枠組みで統合することで、破壊過程と輸送の相互関係を解析する手法を開発することを研究の目的としている。本年度は実験設備設計の精緻化を行ない、3次元乾燥亀裂実験を本格的に開始した。系統的に実験設定を変えて柱状亀裂が発生する実験状況を定量化した。また数値シミュレーションの面では、phase-field法による破壊過程のモデリングを発展させ、媒質内の表面エネルギー場をパラメトライズされた連続的なランダム場として取り込めるように改良した。このモデル化により表面エネルギー場を定量的にコントロールできるようになったことで、変分法データ同化と親和性の高いモデルになった。さらに副次的な数値計算の結果として、亀裂の進行過程において表面エネルギー場のランダムネスが大きいほど進行の揺らぎが大きくなる一方で、進行速さはランダムネスの大きさには大きく依存しないことが明らかになるなど、いくつかの新しい結果が得られた。データ同化解析手法面では、ニューラルネットワークベースのデータ同化手法の検討を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験面に関しては本格的に実験がスタートし系統的な実験が行なえるようになったことで想定していた3次元亀裂の再現できた。理論・シミュレーション面においては当時想定していなかった新規な結果が得られた一方で、データ同化の面では実装がやや遅れているが、研究計画全体としてはおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き実験データの拡充・シミュレーションの高度化・データ同化手法開発を行なっていく。特にデータ同化手法開発に関しては以前として計算量的な課題が残されており、手法開発および最新の発展も逐次取り入れつつ改良を行なっていく。
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Causes of Carryover |
今年度は前年度できなかった実験設備の充実を推進できた一方で、学会等の旅費への計上が少なかったことが一因として挙げられる。次年度は旅費への計上を充実させていくとともに、必要に応じて計算機関係への計上も行なう予定である。
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