2023 Fiscal Year Research-status Report
A combined method of molecular dynamics and deep learnings to explain transition states in complex molecular systems
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22K03550
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金 鋼 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (20442527)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 遷移状態 / レアイベント / 自由エネルギー / 深層学習 / 説明可能なAI |
Outline of Annual Research Achievements |
ソフトマターにおいて多くの自由度から少数の変数を選び出し、安定状態をつなぐ遷移経路を特徴付けることは重要課題である。自由エネルギー地形とも言われる平均力ポテンシャルは手法のひとつであり、原子位置に関する高次元の配置座標から決まる集団変数に関する確率分布関数をサンプリングし、その対数を取ることで自由エネルギー地形を獲得する。この自由エネルギー地形において安定状態が鞍点により区別され、さらに実際の遷移経路が鞍点を通過するとき、集団変数は構造変化を特徴付ける適切な反応座標といえる。本研究では、アラニンジペプチドの立体配座が変化する異性化過程に着目した。エネルギー的に安定な2状態であるβ-シート構造(状態A)と左巻きα-ヘリックス構造(状態B)が存在することが知られ、遷移状態(TS)を特徴付ける候補変数として二面角が重要視されてきた。ここで二面角は物理的直観により反応座標として機能するものと選択されてきたが、それが適切かどうかは自明ではないことに注意が必要である。分子動力学(MD)シミュレーションとコミッターと呼ばれる化学反応論の機械学習を用いた二面角の系統だった探索方法を提案してきたが、二面角だけでなく原子間距離も候補となりえることを考慮すれば、異性化過程の4つの原子によって定義される二面角より精緻な記述が期待できる。そこで原子間距離を候補変数として深層学習を行うことで、どの原子間距離が適切な反応座標となりえるのかを明らかにすることを目的とした。その結果、深層学習によるコミッターのシグモイド関数への回帰結果に対して解釈性を与えることのできる「説明可能なAI」を適用した。その結果、最も寄与の大きい入力変数として特定の原子間距離を見出した。得られた原子間距離による自由エネルギー地形からTSの構造が状態AとBを分割しており、異性化過程を適切に特徴づけることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により説明可能な深層学習を分子動力学シミュレーションに適用する手法を確立してきた。特に、より複雑なソフトマターへの応用を見越して、二面角変化を伴う異性化過程を原子間距離のみで有効的に記述することが可能であることを明らかにしており波及効果があると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、高分子、液晶、水などをターゲットして分子動力学シミュレーションをおこない得られた配置構造に対し深層学習をおこなう。特に温度の違いになどによる構造変化を識別する深層学習モデルを獲得し説明可能なAIによる構造識別能力を評価することを計画している。
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Causes of Carryover |
計画とおり予算執行したが若干の誤差が生じた。
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