2023 Fiscal Year Research-status Report
誘電分光・X線回折同時測定による氷の緩和時間の矛盾の検討
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22K03563
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
中西 真大 福岡工業大学, 工学部, 助教 (00707763)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 氷 / 広帯域誘電分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
氷は柔粘性結晶であり,氷を形成する水分子は温度に依存した緩和時間で配向運動することができる.これまで氷の誘電緩和時間のデータは,いくつかの異なる温度依存性が報告されている.本研究では,氷の誘電緩和時間の報告に関する矛盾を検討して,生体物質などの複雑系において生成する氷の理解につなげるために,氷の誘電緩和測定を様々な条件で行い,X線回折などの構造データと比較することを目的としている. 本研究では,これまでこの研究に必要な機材を調達し,測定を行うための準備をしてきた.氷の誘電緩和,すなわちインピーダンスを様々な条件で測定するにあたって,急冷・徐冷など様々な温度プロトコルで試料温度をコントロールする必要がある.これまでに,実験に必要なインピーダンス測定システムと温調装置の構築に取り組んだ. 試料の温調に関して,温調装置として液体窒素蒸気を用いたシステムを製作した.液体窒素を加熱して気化させ,その低温の蒸気下に試料セルの容器を配置した.試料セル容器にはヒーターを巻き,100K程度から室温まで安定的に温度を制御できるようにした.また,試料セル容器を液体窒素に直接浸すことで,液体窒素温度への急冷も可能となっている.PID温度制御器を操作するためのプログラムを作成した. 誘電緩和・インピーダンスの測定に関して,インピーダンスアナライザを調達し,測定のための試料セル電極などを作製した.広い周波数領域をカバーするために,複数のインピーダンス測定器を切り替える必要があるが,そのための切り替え器を現在製作途中である.これらを統合して動作させるプログラムも作成中である. 試料の作製方法について,電極上に不純物の少ない氷を生成する方法をいくつか検討し,試料作成の方法に道筋をつけることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
思ったほど研究の時間が取れなかったことと,さらに2022年度に特に深刻であった物価の高騰と半導体などのモノ不足で,温度制御器などの必要な器具の購入が困難であったことから,当初計画したとおりに研究を進めることができなかった.その影響をリカバーすることはまでできておらず,現在のところ,測定を行うための機器の製作の段階である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は温調・測定を協調的に行うためのプログラムを作成していく.これによって様々な温度プロトコルでのインピーダンス測定が可能になる.その後,純氷などの測定に移っていく.
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Causes of Carryover |
試料の購入やコネクタやケーブルなどの雑品の購入が完了していないため
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