2023 Fiscal Year Research-status Report
量子代数曲線と対称性から探る、超共形場の理論と超弦理論
Project/Area Number |
22K03598
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
森山 翔文 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (80402452)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 双対カスケード / 平行多面体 / 超対称チャーン・サイモンズ理論 / 大分配関数 / パンルヴェ方程式 / ワイル群 / アフィンワイル群 |
Outline of Annual Research Achievements |
異なるゲージ群のゲージ場や異なる表現の物質場を持つゲージ理論が同様の物理を与えることがあり、これを双対性という。また双対変換を継続的に適用することができ、双対カスケードという。M2ブレーンを記述する超対称チャーン・サイモンズ理論(ABJM理論やその拡張)に対して、双対性や双対カスケードが詳しく調べられてきた。特に、双対カスケードが必ず有限回の変換で終了するか、また、終了するとすれば終点が一意的であるかという疑問は、研究代表者らの先行研究において、平行多面体と関連付けて肯定的に解決された。つまり、双対カスケードの終点集合を用いて基本領域を定義すれば、上記の有限性や一意性に関する疑問は、双対カスケードと対応する離散的な平行移動によって、基本領域の無限個のコピーが全パラメータ空間を重複も隙間もなく埋め尽くすか、つまり、基本領域が平行多面体であるか、という離散幾何学的な問題に翻訳される。またこの問題は、基本領域がゾーン多面体になることから、ゾーン多面体の空間充填の判定条件を確認することで肯定的に解決された。 特にワイル群の対称性を持つ場合には、平行多面体はアフィンワイル部屋になり、平行多面体の離散的な平行移動はアフィンワイル群の元に同定される。また本年度の成果により、対応する理論の分配関数がアフィンワイル群の対称性を持つq変形されたパンルヴェ方程式を満たすことがわかった。これからアフィンワイル群との関係が強く示唆され、さらに分配関数に対するアフィンワイル群の変換を詳しく調べた。その結果により、もともと基本領域内において定義された分配関数がその領域内でqパンルヴェ方程式を満たしていた状況から、分配関数の定義域もqパンルヴェ方程式の有効域も全パラメータ空間に拡大することを発見した。この拡大された分配関数は双対カスケードとも整合し、単なる解の拡大を超えた物理的な分配関数である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
M2ブレーンの分配関数がパンルヴェ方程式を満たすことをアフィンワイル群の対称性の視点から捉え直すことにより、分配関数の定義域やパンルヴェ方程式の有効域を全パラメータ空間に拡大させることが出来た。これによりM2ブレーンにおける双対カスケードや可積分構造の理解が進展したと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平行多面体を用いて双対カスケードを理解することは、パンルヴェ方程式の解析に繋がり、また、分配関数の定義域やパンルヴェ方程式の有効域を拡大させる上でも非常に有用である。次年度も平行多面体の視点を取り入れてM2ブレーンの可積分性やモジュライ不変性の理解を深めたい。
|
Causes of Carryover |
補助事業期間初年度は専攻長に選出されたため初年度から次年度使用額が生じていた。次年度使用額を有効活用し、研究内容に関連する研究会に参加する予定である。
|