2022 Fiscal Year Research-status Report
拡張されたmassive gravityにおける宇宙論と観測的制限
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22K03605
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木村 蘭平 早稲田大学, 高等研究所, 准教授(任期付) (70785310)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 宇宙論 / 重力理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では重力子が質量を持つ理論において、多角的な視点から物理現象の理論的予言を行い、そして重力子の質量の制限を行うことを目的としている。近年の先行研究で発見された理論的に安定な質量項は2つのパターンがわかっており、今まで不安定性などの問題で宇宙論への応用が不可能であると思われていたmassive gravityに現実的なモデルを用いた研究が早急に必要となる。そこで、宇宙論における役割、そして将来の精密な観測データ を用いた検証まで見据えた研究が必要となる。本年度はその研究の第一段階である宇宙論的な背景時空の解析にて、宇宙の加速膨張を記述できる解を導出した。そしてさらに、線形摂動理論を用いて大規模構造の進化を追った。結果として、Projected massive gravity理論における大規模構造の進化は、ホライズンの内側では、一般相対性理論の予言とほぼ一致し、違いは背景時空の進化とホライズンの外側の成長率だけであることがわかった。基本的に重要となるのは背景時空の進化がいかに制限されるか、そして、その違いが大規模構造の進化に与えるわずかな違いである。この結果を用いて、Ia型超新星による距離指標、そして銀河分布から得られた密度揺らぎの線形成長率のデータからのprojected massive gravityの理論パラメータに具体的な制限を行った。今のところ、これらの観測と矛盾はないということを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りの計算手法では密度揺らぎの進化をえることができなかったが、別の手法で摂動量を計算することで最終的な目標であった密度揺らぎの成長率まで計算することが可能となった。おおむね研究計画の第一段階は本年度に発表した論文で終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
第二段階である非線形な摂動の研究は現在進行中である。今のところ、研究計画通りに進められることが予想されている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で海外の国際会議に参加する代わりに国内の会議の参加費用に使用したりしたため。
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