2022 Fiscal Year Research-status Report
Study of three-baryon force including hyperon in a quark model
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22K03609
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
仲本 朝基 鈴鹿工業高等専門学校, 教養教育科, 教授 (10311036)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クォーク模型 / 3体力 / ハイペロン / 中性子星 |
Outline of Annual Research Achievements |
バリオン8重項から成る3体系における「3体バリオン力」について、クォーク模型の枠組みにおいて研究を進めている。すなわち、クォークの運動学とクォーク間相互作用から出発し、共鳴群法というクラスター技法を用いてバリオン間に働く3体力の評価を行う。 中性子星内部にはハイペロン(ストレンジクォークを含むバリオン)が存在することは確実で、その場合には現在考慮しているメカニズムだけでは(観測されている)太陽の2倍質量をもつ中性子星の存在が説明できず、それを支える(未だ考慮されていない)内部斥力があるはずで、多体効果が関係することが予想される。 最もベーシックな多体効果であるバリオン3体系におけるパウリ効果だけでは内部斥力を説明できないことは先の研究でわかったので、ここでは次にベーシックな3体バリオン力について評価している。 2体力(バリオン間相互作用)において、クォーク間の1グルーオン交換ポテンシャルの中のカラー磁気項が、短距離斥力として寄与した。3体バリオン間においても、このカラー磁気項が重要な役割を与えることが期待されるため、クォーク間相互作用としてカラー磁気項を採用することによって得られる3体バリオン力について調べた。3体バリオン力として評価する共鳴群法カーネルにおいて、カラー磁気項が特異点を持つような形となるため、3体バリオン間にS波の調和振動子相対波動関数を仮定して共鳴群法カーネルごと積分した量を疑似ポテンシャルとして評価する方法を採用した。令和4年度は、その際に含まれる(バリオン間ヤコビ座標における)2個の幅パラメータとして妥当な値を用いることによって、どのような結果が得られるかについて調べた。 結果として、全スピン1/2の系において、NNNは斥力、ΛNN系では強い斥力、Σ^-nn系では引力、Ξ^-nn系ではほぼゼロという、強い3体バリオン系依存性が存在することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度に得られた成果は、カラー磁気項によって記述される3体バリオン力が、強い3体バリオン系依存性をもつ、ということであったが、これは2019年に韓国グループによって発表された先行研究の結果と定性的に大きく異なる。しかしながらその違いはどこに原因があるのかを見出すことができなかった。 当初の予定では、カラー磁気項からの寄与について結論を出し、他の項からの寄与の評価にも手を付けるつもりであったが、それが叶わなかったことにより、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究との結果比較による分析をし、カラー磁気項に関する一応の結論を出したら、論文としてまとめる。 閉込ポテンシャル等、他の項からの3体バリオン力への寄与についても評価する。 クォーク間の有効中間子交換ポテンシャルとして、フレイバーSU(3)近似のもとでのスカラー中間子9重項、そして疑スカラー中間子9重項を採用することによって、どのような3体バリオン力が得られるかについても検討したい。
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