2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K03620
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
津村 浩二 九州大学, 理学研究院, 准教授 (40648101)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ヒッグス |
Outline of Annual Research Achievements |
拡張ヒッグス有効理論をフェルミオンセクターまで含めた形に拡張し、従来の有効理論では取り扱えなかった素粒子現象を記述する枠組みの構築を行い、具体的な高次補正の計算を行って、非自明な関係を導くことを目的として研究を行った。 また、スカラー場理論を低エネルギー有効理論と紫外完全な理論を作って比較することで新しい知見を見出すことを目指して次の研究を行った。直接検出実験の強い制限を巧みに避けられる擬南部ゴールドストンボソン暗黒物質について、ゲージ相互作用を起源とする安定な暗黒物質の可能性を追求した。同じく直接検出実験の強い制限を巧みに避けるフレーバー非保存の媒介粒子を持つ暗黒物質模型に対して、紫外完全な模型を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フェルミオンセクターまで含めた拡張ヒッグス有効理論を用いて、1ループレベルの双極子型相互作用の係数を求めた。その結果、拡張ヒッグス有効理論において次数勘定を適切に行うと、4フェルミ型の相互作用と双極子型の相互作用の間に非自明な関係が得られた。 標準模型のヒッグスセクターには近似的なカストディアル対称性が存在する。同様の構造を暗黒ヒッグスセクターに持ち込むことで安定な擬南部ゴールドストンボソン暗黒物質を実現した。暗黒ゲージ対称性が自発的に破れるたあとに残る残存対称性(暗黒カストディアル対称性)により、暗黒物質が安定化するという新たなメカニズムを発見した。 フレーバー非保存の媒介粒子を持つ暗黒物質模型は確かに直接検出からの制限を巧みに避けることが出来るが、紫外完全な形でこの模型を実現すると高次補正を通じて暗黒物質が測られる可能性があることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
拡張ヒッグス模型の予言を引き続きまとめていき、異なる2つの実験結果を用いて比較できる形に持っていく。 暗黒物質模型については、大統一理論への埋め込みや、現実的なニュートリノ質量の実現などの観点から模型を完全なものにしていく。
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Causes of Carryover |
主に解析的な計算の部分の研究に注力したため、数値計算用のPCを次年度以降に購入することとした。
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