2023 Fiscal Year Research-status Report
アクシオンの量子性で迫る宇宙の起源と暗黒物質の正体
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22K03621
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菅野 優美 九州大学, 理学研究院, 准教授 (70827427)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 量子センシング / 高周波重力波 / 原始ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
原始ブラックホールは非バリオン的であるため、暗黒物質の良い候補となっている。この原始ブラックホールが、銀河系内にある場合には、高周波の重力波が生成される可能性がある。現在の稼働中、または計画中の重力波干渉計では、高周波重力波に対する感度が悪いため、新しい検出器を考える必要がある。 私たちはリュードベリ原子を用いた量子センシングを利用して、高周波重力波を検出する方法を考えた。リュードベリ原子は、大きな電気双極子モーメントを持つため、微弱な電場に対して非常に感度が良い。重力波は磁場と相互作用すると、電場が生成されることに着目して、実験室で磁場を用意し、重力波が来たときに、磁場との相互作用で生成される電場を、リュードベリ原子で測定することで、間接的に重力波を捉えることを考案した。具体的には4準位系のリュードベリ原子気体に対する実験室系においては、フェルミ正規座標系を拡張することで精度が大きく向上することを明らかになった。これは将来、高周波重力波検出器をデザインする際に重要となる。その結果、26.4ギガヘルツの高周波重力波に対して、リュードベリ原子を用いた検出器では、10^{-20}の感度が出ることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である暗黒物質を検証する方法として、量子センシングを利用することで観測可能性が出ることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに感度を上げるために、リュードベリ原子のエンタングルメントを考え、ハイゼンベルグ極限に達することができるかを考察する。また、アクシオンの検出に向けて、リュードベリ原子を用いた量子センシングを応用することを考える。
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Causes of Carryover |
予定していた出張が、急な会議と重なったため出張を中止せざるを得なくなったため。今年度は、共同研究のための出張費に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)