2023 Fiscal Year Research-status Report
Impacts of super-suvey tidal field on large-scale structure formation
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22K03644
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
正木 彰伍 鈴鹿工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (80826280)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 銀河サーベイ / 大規模構造 / ダークマター / ダークエネルギー / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
暗黒物質、暗黒エネルギーの正体を解明すべく、近年注目のサーベイ領域より大きなスケールでの物質密度の非一様性である「超サーベイ密度揺らぎ」由来の重力潮汐場(超サーベイ潮汐場)が宇宙の構造形成に与える影響を明らかにする。そのために申請者が世界に先駆けて開発したコードを用いて、超サーベイ潮汐場を考慮した宇宙の大規模構造形成シミュレーションを行う。観測結果の解釈に必要な基本的な統計量である物質・銀河の分布や銀河の形状のパターンに、超サーベイ潮汐場がどのスケールでどの程度の影響を与えるか明らかにし、それらの理論モデルを確立する。 2023年度は、観測の解釈に必要不可欠な要素である、観測された銀河とシミュレーション中のハローの関係性モデルの構築に昨年度から引き続き注力した。独自に開発したモデルが予言する銀河クラスタリングを、すばる望遠鏡Hyper Suprime-Cam(HSC)掃天観測で得られた最新の観測結果と比べたところ、既存モデルでは再現できない場合でも我々のモデルでは観測結果をよく再現できることがわかった。この成果はMonthly Notices of the Royal Astronomical Society(MNRAS)誌にて出版済みである。加えて、我々のモデルが予言する銀河周りの物質分布もHSC観測の結果とよく一致することを発見した。この成果についても銀河クラスタリングと同様にMNRAS誌にて出版することができた。 以上の成果により、観測結果を解釈する上で不明瞭な銀河-ハロー関係に由来する不定性を低減することができ、超サーベイ潮汐場による影響を抽出することが可能となる。2024年度以降は超サーベイ潮汐場が観測量に与える影響の評価に注力できる。特に、銀河団ハローや銀河分布において疎な領域であるボイドの形状に着目する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とは異なるが、最終的に不可欠な要素となる観測された銀河とシミュレーション中のハローの関係性について、既存モデルより良いモデルを構築することができた。クラスタリングと銀河周りの物質分布という多角的な検証をし、2編の論文を出版することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に戻り、超サーベイ潮汐場が宇宙の大規模構造にどのような影響を与えるかを明らかにする。超サーベイ潮汐場はより大きなスケールで、3次元形状に影響を与えると考えられる。そのため、宇宙で最大の自己重力天体である銀河団ハローや、最大の"構造"である銀河分布の疎な領域であるボイドの形状への影響を調べていく。
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Causes of Carryover |
半導体価格の上昇の影響で、購入を予定していたワークステーションPCの価格が予想以上に上がってしまい配分された額では購入することができなかったため。
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