2022 Fiscal Year Research-status Report
Dynamic Geometry Modeling using AI for Fast and High Accurate Radiation Simulator
Project/Area Number |
22K03653
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Research Institution | Ashikaga University |
Principal Investigator |
木村 彰徳 足利大学, 工学部, 教授 (60373099)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 放射線シミュレーション / 動的構造モデル / ボリュームデータ可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線シミュレーションは物理学のみならず,医療,宇宙科学など様々な分野で,治療精度の向上,装置の開発や最適化,非破壊検査装置の開発などでも利用されている.そして,放射線シミュレーションの計算精度を向上させるために,人体,シリコン素子,測定器等のより詳細な構造をモデリングするために,その構造に対して四面体セルを適応的に変化させた適応的四面体格子が用いられている.本研究では,AI技術やGPU(Graphics Processing Unit)を利用し,人体の複雑な形状モデルに対する放射線シミュレーションの高速化及び高精度化を目的としている.さらに,本研究で開発する応用ソフトウェアを公開することを目的としている. 放射線医療のために利用される治療計画装置では,患者に照射する放射線の分布を事前に計算するためにシミュレーションが利用されている.がんの放射線治療のためのシミュレーションでは,ターゲットとなるがん病巣やその周辺の臓器に対する線量分布の計算のために用いられ,高精度な計算結果が要求されている.そして,高精度なシミュレーションを行うための一つの要素が患者の高精度な3次元形状モデルである. 一方で,近年の人工知能の発展により,医用画像からの多臓器やがん病巣を精度良く効率的に抽出できるようになってきている.人工知能を利用することで,放射線治療シミュレーションで線量分布を計算するターゲット(がん病巣)や重要臓器の設定を効率的に行えるようになると考えている.また,抽出する精度の向上や検証のために,医師や医学物理士によって最適化されたRoI(Region of Interest)で追加学習を行うことも考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AIを利用した各臓器や腫瘍の抽出によって人体の複雑な構造を取得し,臓器に合わせた組成を利用できるようにすることを目標に研究を開始した. CTスキャナで取得した患者データから,NVIDIA Clara Holoscan(以下Clara)のAIを利用し,多臓器及びがん病巣を抽出することができるようになった.ClaraはGPUを利用して医用画像に対する高速な計算処理,人工知能の利用,高度な可視化を提供する開発ツールキットである.Claraを利用するために,AIサーバーとして,Linux PCにClaraをインストールしてLAN内で稼働させることができた. 本研究の成果物の一つとなる応用ソフトウェアgRovaiの開発も同時に進めている.gRovaiはAIサーバーと同じLAN内のPCで実行し,Claraと接続してCTデータから多臓器及びがん病巣の形状情報の取得することができ,入力のCTデータ及びClaraで取得した形状情報の可視化ができるようになった.その可視化では、2次元や3次元のボリュームレンダリングが可能である.また,Claraで取得した臓器やがん病巣の形状を医師や医学物理士が微調整するためのRoIエディタの開発も進めている.RoIエディタでは,Claraで取得した形状を初期状態とし,その3次元形状をマウスで微調整できるようにするものである.2次元平面上のRoIの曲線を自由に移動させることができる.
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Strategy for Future Research Activity |
RoIエディタの開発を完成させる.2次元平面上で微調整する機能を実装しているが,自動的に3次元形状に反映できるように機能を拡張する.その結果として,がん病巣や臓器の3次元形状を決定できるようにする.次に,その決定した3次元形状を元に,シミュレーションのための適応的四面体による動的形状モデルの構築のための開発を行う.この形状モデルには,放射線が通過した四面体セルを高速に検索ができるように,GPUを利用するために最適化されたアルゴリズムを開発し利用する予定である. 最終的に,形状モデルを利用した高速かつ高精度な放射線シミュレーションを実行し,gRovaiでシミュレーション結果の可視化及びDVH(Dose Volume Histogram)の計算及び表示が行えるようにすることを目標としている.
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Causes of Carryover |
予算を国際会議の登録料(2月に支払い)として確保していたが、投稿した論文が採択されず、その予算を次年度に使用することにしたため。
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