2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of the electromagnetic calorimeter capable of BG separtation with low cost
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22K03667
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
塩見 公志 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (40648036)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 電磁カロリメタ / 素粒子実験 / 粒子識別 / 測定器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中性K中間子の稀崩壊であるKL→π0νν崩壊の探索実験であるKOTO II実験に使用するための、ガンマ線と中性子が分離可能な電磁カロリメーターの開発を行う。低コストで製作するために、鉛とプラスチックシンチレーター のサンプリングカロリメーターで実現することを目指す。 本年度はシミュレーションを使用して、KOTO II実験での主要な背景事象であるKL→2π0崩壊による背景事象数が、電磁カロリメーターのエネルギー分解能にどのように依存するかの見積もりを行った。その結果、1GeVの入射γ線に対するエネルギー分解能が1%から5%の範囲であれば、背景事象の増加はあまり見られないことがわかった。また、鉛とシンチレーター層の厚みを変えたシミュレーションを行い、サンプリングカロリメーターで達成可能なエネルギー分解能を見積もった。断面積が5cm×5cmで0.5mm厚の鉛と2.5mm厚のプラスチックシンチレーターを100層重ね1つのモジュールとし、25個のモジュールを5×5に積んで小型なカロリメーターとする。この時、1MeVのエネルギー損失に対して10光子の発行が得られたと仮定すると、1GeVの光子に対して約4%のエネルギー分解能が得られることがわかった。以上のことより、γ線に起因する背景事象に関しては、サンプリングカロリメーターでも十分に抑制する性能を達成出来ることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度はクラレ社が新たに開発した波長変換ファイバーであるYS6を使用して小型のモジュールを製作する予定であった。しかし、ファイバーの工場の耐震補強工事の影響で、納期が通常よりも大幅に時間がかかることとなり、小型モジュールの製作を進めることが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
クラレの波長変換ファイバー(YS6)の発注は既にしており、2023年の6月には納入される予定である。それまでに鉛やシンチレーターの準備を行い、波長変換ファイバーの納入後すぐに3放射長程度の厚みを持つ、テストモジュールの製作に取り掛かる。製作後は宇宙線を用いて、光量の測定を行う。また、幾つか厚みの違うシンチレーターや鉛を準備して、良いエネルギー分解能を得るための最適な組み合わせを探す。各パラメーターを決定後はビームテストで使う用に15-20放射長の大きさのテストモジュールの製作を行う。
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Causes of Carryover |
購入予定であった波長変換ファイバーの納期が、工場の改修工事の影響で通常よりも長くなったため、今年度内に購入することが出来なかった。そのため、サンプリングカロリメーターの試作機の製作を開始することが出来なかった。次年度使用額は、今年度購入予定であった波長変換ファイバーと試作機の製作に必要なシンチレーターや鉛の購入に使用する。
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