2022 Fiscal Year Research-status Report
Observational study of post T Tauri stars
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22K03677
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
伊藤 洋一 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (70332757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大朝 由美子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10397820)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 星惑星形成 / 光学赤外線天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヨーロッパの位置天文衛星Gaiaが観測した年周視差と固有運動のデータを用いて、Lindroos天体の周囲に若い星団を発見した。Lindroos天体とは、OB型主系列星の伴星として存在するFGK型星である。OB型星の主系列の滞在時間は数千万年と考えられるので、伴星の年齢も数千万歳であると考えられている。すなわちLindroos天体はポストTタウリ型星の有力な候補天体である。ところで、一般的には恒星は集団で生まれる。従ってLindroos天体を含む連星系の周囲には、同時期に生まれた恒星が存在する可能性がある。そこで、最新のデータベースであるGaia DR3で、連星の周囲1pc以内にある天体の年周視差、固有運動、可視光等級、可視光のカラーを調べた。このうち連星の主星と類似した固有運動と年周視差を持つ天体を星団候補天体とした。この結果、既知の散開星団であるIC2391領域においては、上記の手法を使って星団メンバーを選別することができた。また色等級図上で最新の恒星進化トラックを使うことにより、IC2391に属する天体は年齢が2000万歳程度であることもわかった。同様の手法により、既知のものも含めて15個の散開星団をLindroos天体の周囲で発見した。これらの星団のメンバーの多くはポストTタウリ型星である可能性がある。中には、すでに白色矮星となっている天体が星団のメンバーと認定されたものもある。この天体は主系列の時代には質量が非常に重く、進化が非常に速かった天体であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Gaiaの固有運動と年周視差のデータを使って、星団メンバーを同定する手法を確立した。この点は、計画を上回って進捗していると考えられる。一方で、ポストTタウリ型星の分光的特徴については、観測データを得ることができなかった。これは、観測に使用する予定であった「なゆた望遠鏡」の可視光分光器MALLSの新CCDカメラのノイズ低減に予想以上に時間がかかったからである。
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Strategy for Future Research Activity |
可視光分光器MALLSの新CCDカメラのノイズは、現在までに、年度当初の1/7以下に低減することができた。そこで今後は、この新しいカメラを用いてポストTタウリ型星のスペクトルを取得し、ポストTタウリ型星の分光学的な特徴を明らかにしたい。また、Lindroos天体の有無にかかわらず、近傍のOB型星の周囲に散開星団を探査することにも着手したい。
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Causes of Carryover |
2022年9月に新型コロナウイルスに感染したため、国内・海外ともに出張を取りやめたことや、その後の業務においてもデスクワークを主としたために、次年度使用額が生じた。今後は、可視光分光器MALLSの最終レンズや反射型プリズムを設計・製作し、ポストTタウリ型星の分光観測を遂行する予定である。
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