2022 Fiscal Year Research-status Report
大質量星連星を手がかりとする初代星と重力波起源天体の探査
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22K03688
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
須田 拓馬 東京工科大学, 教養学環, 講師 (90374735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 敏志 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (20425408)
斎藤 貴之 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (40399291)
森谷 友由希 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (60722949)
茂山 俊和 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70211951)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 金属欠乏星 / 超新星 / 恒星進化 / 元素合成 / 大質量星 / 連星探査 / 化学進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主要テーマである、重力崩壊型(II型)超新星爆発の爆風を受けた超金属欠乏星の表面に爆風の残骸が降着する影響及び、恒星表面の元素組成分布の変化の可能性について検討してきた。本研究では、宇宙で最初に誕生した星(初代星)の中には、連星系における超新星の爆風を受けた小質量星の生き残りが存在しているという仮説を理論・観測の両面から検証する。 本研究は、(1) SPH法を駆使した超新星爆風と恒星の相互作用の多次元シミュレーションの実行(理論研究I)、(2) 観測データとの比較による金属欠乏星の起源の検証(理論研究II)、(3) 大質量星と小質量星あるいは大質量星とコンパクト星からなる連星系の探査(観測研究)、からなる。 理論研究においては、観測データとの比較のための環境を整備するために、金属欠乏星データベースの整備を行った。金属欠乏星のデータから、サンプルや解析手法による偏りのないサブセットについて検索、作図、データのダウンロードを行うシステムを作成し、公開した。超新星爆発による爆風と小質量星の相互作用の調査を発展させるべく、非球対称爆発モデルや高速回転する大質量星からの質量放出の実装を検討している。 観測研究においては、太陽近傍にあるOB型星の視線速度変動を測定し、大質量星と低質量星あるいは大質量星とコンパクト星からなる連星系の探査を継続している。令和4年度では2件の観測提案が採択され、なゆた望遠鏡で4晩相当の観測時間を獲得し、1-2週間に一度、大質量星の分光観測を継続して行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超新星爆発が伴星の小質量星に与える影響を調べるシミュレーションについて、研究を継続中であるが、計算のセットアップや初期パラメータについて検討中である。金属欠乏星データベースの改良および整備は順調に進んでおり、理論モデルと観測データとの比較を行う環境は整っている。観測の実施は順調であり、観測データの解析も進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの超新星爆発のシミュレーションを発展させるべく、非球対称爆発モデルや高速回転する大質量星からの質量放出の実装について検討を継続する。金属欠乏星データベースを用いた理論と観測の比較を推進するべく、既存のデータを整理するためのスクリプトを整備する予定である。大質量星の継続観測は次年度も採択されたので、引き続きデータの取得と解析を進める。
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Causes of Carryover |
シミュレーション実施のための計算機環境整備費用として計上したが、計算を行う段階まで進まなかったため、諸費用がかからなかった。次年度以降は継続的に支出が行われる見込みである。岡山188cm望遠鏡を用いた観測を行うための費用を計上していたが、望遠鏡が故障したために観測の申請ができず、次年度以降に持ち越すこととなった。望遠鏡の復旧はまだ目処が立っていないが、次年度の観測申請の準備を行っている。 次年度では、主にシミュレーションの実施およびなゆた望遠鏡での観測を遂行するための費用として予算を使用する計画である。また、これまでの観測成果を出版するための費用も必要となり、今年度未使用分と次年度使用分について順調に使用できる見込みである。
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