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2022 Fiscal Year Research-status Report

氷床表層部における気泡-空隙間ガス分別現象の解明-回転ラマン分光法を応用して-

Research Project

Project/Area Number 22K03713
Research InstitutionKitami Institute of Technology

Principal Investigator

大野 浩  北見工業大学, 工学部, 准教授 (80634625)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsアイスコア / ガス分別 / フィルン / 古環境復元 / 南極
Outline of Annual Research Achievements

当初は回転ラマン分光法を応用して南極氷床フィルン中の独立気泡のガス分析を行う予定であったが,その後雰囲気ガスをラマン不活性のアルゴンに置換してバックグラウンドノイズを抑えることで,通常の振動モードでも十分精度の高い測定が可能であることが明らかになったので,作業効率に優れる振動モードを用いて研究を進めた.
南極内陸部で掘削されたDFS10浅層コアの氷化深度付近に含まれる気泡1つ1つの窒素酸素比(N2/O2)を顕微ラマン分光法で分析するとともに,マイクロフォーカスX線CTを用いて当該深度における気泡の空間分布を調べた.その結果,理論的研究で予測されていたような極端にガス分別が進行した微小気泡(マイクロバブル)が存在することを確認した.
マイクロバブルのラマン散乱強度はマイクロバブルの内圧が比較的高いこと示唆しており,マイクロバブルはノーマルバブルよりも早い段階で氷床に取り込まれた(より浅部で形成された)と考えられる.
また本研究で得られたマイクロバブルのガス組成やマイクロバブルの体積密度の値を用いて,マイクロバブルの存在がガス組成に全体に与える影響を定量的に評価したところ,δO2/N2が-13.7~-24.9‰変化すると見積もられた.この変化量は氷床深部で認められる酸素窒素比シグナル(アイスコアの年代軸調整に用いられる)の変動幅と同程度であることから,マイクロバブルによるガス分別効果は無視できないレベルにあることが示唆された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

顕微ラマン分光法によるフィルン中独立気泡のN2/O2分析を予定通り実施できており,マイクロバブルのガス分別現象の実験的検証や,マイクロバブルの存在がガス組成全体(気候シグナル)に与える影響の定量的な評価に至っている.

Strategy for Future Research Activity

昨年度の研究により,極端にガス分別が進行したマイクロバブルの存在が氷化深度付近で見いだされ,マイクロバブルにおけるガス分別現象はトータルのガス組成(気候シグナル)に有意な影響を与えていると考えられる.
マイクロバブルは表面積雪の段階ですでに含まれる微小な気泡とされているが,その形成メカニズムや分布状態はほとんど分かっていない.そこで先ずは南極ドームふじ基地周辺で採集した表面積雪中にマイクロバブルがどの程度またどのように含有されているのか,X線マイクロCTを用いて調べる予定である.続いて,マクロバブルのガス組成や分布が氷床表面から深さ(時間)とともに変化する過程を,光学顕微鏡観察や顕微ラマン分光分析で明らかにしたい.

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 南極 DFS10浅層コアに含まれる気泡の X線マイクロ CT解析 -マイクロバブルに 着目して-2022

    • Author(s)
      橋本健吾 ,安達聖,藤田秀二,飯塚芳徳,大野浩
    • Organizer
      雪氷研究大会(2022・札幌)

URL: 

Published: 2023-12-25  

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