2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K03748
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢部 康男 東北大学, 理学研究科, 准教授 (30292197)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 震源断層掘削 / 断層摩擦 / すべり量依存性 / 法線応力依存性 / AE活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ICDP-DSeisプロジェクトで掘削したHole Bから回収された,2014年Orkney地震(M5.5)の震源断層を含む岩石試料を用いた摩擦すべり実験を行った. 乾燥状態では,震源断層が生じたランプロファイアダイクとその母岩であるクラウン溶岩のいずれも摩擦係数は0.6-0.75で,一般的な岩石と同程度であった.最大累積変位172mmまででみると,法線応力によらず,クラウン溶岩の摩擦係数はすべり速度弱化を示した.一方,ランプロファイアダイクは,法線応力15MPaでは,すべり量が小さいときは速度強化だが,累積すべり量が大きくなるにつれて速度弱化に転じた.しかし,法線応力5MPaでは,実験を行ったすべり量の範囲では常に速度弱化であった. 加水状態でも,クラウン溶岩の摩擦係数は乾燥状態と同程度であったが,ランプロファイアダイクでは0.2-0.3に低下した.クラウン溶岩の摩擦係数は,法線応力によらず,速度弱化を示した.ランプロファイアダイクは法線応力によらず,速度強化の摩擦特性であった. 摩擦すべりに伴うAE活動も計測した.クラウン溶岩では,乾燥状態でも加水状態でも,累積すべり量が大きくなるにつれて,AE活動は低下した.一方,ランプロファイアダイクでは,実験開始直後はすべり量が大きくなるにつれて,いったん,AE活動が低下するが,その後,再び活発になることが分かった. これらの結果は,掘削地点が,本震時には破壊伝播を阻害する安定領域としてふるまい,その後に活発な余震活動を生じたことと説明する.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ICDP-DSeisプロジェクトから,摩擦実験用試料として配分を受けたHole Bの試料について,乾燥状態と加水状態のいずれにおいても計画していた実験を終了した.
|
Strategy for Future Research Activity |
Hole Cの試料を使った摩擦実験を行う. DRAによる応力測定を行う.
|
Causes of Carryover |
コロナ禍による渡航制限措置の緩和後に,現地共同研究者の打合せ及び掘削コア試料の追加採取のために,南アフリカへの渡航を予定していたが,2022年中は現地の共同研究者と日程が合わず,また,2023年1月に私自身がCOVID-19にり患し,同2月以降は学内業務で多忙なため,渡航を2023年4月以降に延期した.現在,本年度後半に渡航すべく,改めて調整中である.
|