2022 Fiscal Year Research-status Report
海洋下部地殻斑れい岩のメルト包有物解析が拓く中央海嶺玄武岩マグマ成因論
Project/Area Number |
22K03750
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
星出 隆志 秋田大学, 国際資源学研究科, 助教 (20647565)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 繭子 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (40630687)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 海洋地殻 / マントル / マントル-メルト相互作用 / 多相固体包有物 / クロミタイト / 中央海嶺 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,東太平洋中央海膨ヘスディープ海盆U1415Pのスピネル含有層状斑れい岩のEPMAによる鉱物化学組成分析を実施した.また,次年度実施予定のCpx中の微量元素分析の準備を行った. Opxの産状は,①粗粒Ol (約4mm)の反応縁(Mg# 85-86),②Cpx-Pl脈と接する他形Olの凹部,③キンクバンドを持つOlを貫く脈,④スピネル中の多相固体包有物の構成鉱物(Mg# 87-92)の4種である.②や③のOpxの産状は,Si-richメルトとかんらん岩の反応でできる組織と類似する.間隙鉱物であるCpxのMg#に対するTiO2の組成トレンドは,層状貫入岩体中のCpxのもの(Mg#減少に伴うTiO2増加)よりもクロミタイト形成に関わるCpxのもの(TiO2増加に伴いMg#はあまり変化しない;Arai and Matsukage, 1996)に近い.また,Olの周囲に偏在するがOlに包有されずPlに包有されるスピネルの分布は,ヘスディープ ODP Site 895トロクトライトのスピネルの分布(Matsukage and Arai, 1998)と似る. 中央海嶺下におけるOpxに飽和したメルトは2つの成因(含水マントルの部分溶融,マントル・メルト相互作用で形成されるsecondary melt)が提唱されている.Cpxの不適合元素であるTiO2の高い含有量(= 1.7 wt%~)は,同斑れい岩を形成したメルトが不適合元素に富むことを示す.含水マントルの部分溶融メルトは不適合元素に乏しいが,マントル・メルト相互作用により形成されるSecondary meltはZone refiningにより不適合元素に富むとされている.このことから,斑れい岩形成に関わったメルトは,マントル・メルト相互作用によりマントル浅部で形成されたSecondary meltの可能性がある.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度予定している層状斑れい岩中のCpxの微量元素分析を行う予定である試料の岩石組織観察と鉱物の主要元素組成分析を完了することができ,EPMAで測定できるCpx中の不適合元素の組成から斑れい岩形成に関わったメルトの成因を推定することができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は,これまでに実施したCpx等の主要元素組成のバリエーションや,Opxの4種の産状に基づき,LA-ICP-MSを用いた微量元素分析を実施する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染者数増加のために国際学会への参加が叶わなかったこと,またウクライナ情勢悪化による次年度分析用のガス購入が進まなかったことが挙げられる。幸いコロナ禍は収束しつつあるため次年度以降に複数の国際学会で発表を実施したい。
|