2022 Fiscal Year Research-status Report
相似地震を用いた火山・内陸域でのゆっくり滑りの検出
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22K03752
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
行竹 洋平 東京大学, 地震研究所, 准教授 (20435853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 亜伊 横浜市立大学, 理学部, 准教授 (00633851)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 群発地震 / 非地震性すべり / 機会学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、火山及び内陸域での群発地震の震源カタログを作成するため、火山性地震を対象とした機械学習による地震波位相検出器の作成及び学習モデルの構築を進めた。作成された学習モデルと機械学習を用いた走時読み取りコードを用いて、連続波形地震波形記録から走時を読み取り、同じ地震からの地震波の同定などの処理を経て、震源位置を推定するシステムを構築した。このシステムを、霧島火山における地震観測網のより取得された過去13年間の連続波形記録に適用し、火山性地震の震源カタログの構築を進めた。その結果、手動検測により得られた既存の震源カタログに対して、約7倍の数の地震が検出され、霧島火山における詳細な地震活動の描像を得ることができた。さらに、箱根火山においては、過去20年間の震源カタログと地震波形データをもとに、相似地震の検出を進めた。その結果、2015年箱根湖尻域で発生した群発地震活動において、多数の相似地震が検出された。この群発地震活動に伴う地殻変動が近傍の傾斜計により観測されていることが明らかになり、傾斜変動は群発地震の震源分布をもとに推定された断層面を、右横ずれ方向に4cm滑らせることで説明できることが明らかになった。この地殻変動に基づく断層モデルのモーメントと地震積算モーメントを比較すると92%のモーメントが非地震性滑りにより解放されたことになり、群発地震の発生と非地震性すべりとの関係を裏付ける重要な観測情報となった。またより高精度な検測データが得られるように機会学習による走時読み取りコードの改良を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、本年度においては機会学習による震源カタログ推定のシステム構築、箱根火山での群発地震に伴う相似地震及び地殻変動の解析を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
構築されたシステムをもとに、伊豆大島や浅間山といった火山でも震源カタログの構築を進める。また箱根火山においては、応力降下量などのその他の震源パラメータにも着目し、群発地震発生と非地震性すべり、高圧流体との関係について理解を深めていく。
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Causes of Carryover |
取得した地震データの容量が予想より小さかったため、ストレージサーバーなどの購入を次年度に持ち越した。今年度は、追加で地震データを取得するためストレージサーバーなどのデータ保存媒体を購入することを予定してる。
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