2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of high spatial-density long-term earthquake observation system using seafloor cable with distributed acoustic sensing
Project/Area Number |
22K03773
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠原 雅尚 東京大学, 地震研究所, 教授 (90242172)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 光ファイバセンシング / 分散型音響センシング / 海底ケーブル / 地震観測システム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、光ファイバ自身をセンサとして用いる光ファイバ分散型音響センシング(DAS)計測が実用化され、地震観測にも試行されている。DAS計測は光ファイバ計測技術の一つで、空間的に短い間隔(数 m)で計測が可能であり、同時に計測可能な長さは、100 kmに達している。これは、地震計を数m間隔で設置した長基線のアレイ観測と同じである。この手法を海底ケーブルに適用することにより、海底における高密度のデータ収集が可能であり、メートルオーダーでの高精度震源決定、時間変化を検出できるレベルの高分解能構造決定などが期待される。 しかしながら、現状のDAS計測システムは、物理探査などを目的としており、長期観測が考慮されていない。本研究の目的は、DAS計測による定常的な地震観測を可能にすべく市販のDAS計測装置の測定部分を利用して長期観測可能なシステムを開発することである。地震モニタリング観測には、数年以上の観測期間が必要であるが、現在のDAS計測システムの生成するデータは膨大であり、そのままデータを保存することは難しい。そこで、大量データを利用して現在進展のあるビックデータ的手法により地殻活動モニタリングに必要なイベント部分の検出を試みて、データ量減少をめざす。本研究計画では、長期連続地震観測が可能なシステムとして、1) リアルタイムデータ伝送、2)イベントデータ蓄積、 3) リモートデータ閲覧の3つの機能を持つシステムの開発を行う。 2023年度は、これまでのシステムの設計に基づき、データ量を減少させるための時空間におけるデシメーションプログラムを作成し、プロトタイプシステムの構築を継続した。また、システム開発・改良に必要な試験データの収集として、地震研究所が所有する海底ケーブルを用いたDAS観測を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、2022年度に、システムの設計、プロトタイプシステム製作、三陸沖ケーブルシステムを用いた試験観測の実施とし、2023年度は試験観測結果によるシステム改良、改良システムによる三陸沖ケーブルシステムを用いた地震観測を予定している。2022年度に、システムの設計、およびシステム構築に必要なDASデータの収集が終了し、システム構築を開始した。2023年度は、必要なプログラムの開発・改良を行い、プロトタイプシステムの構築を継続した。これまでに得られた試験観測データを用いて、開発したシステムを確認した。長期連続地震観測システムの開発として、現状では大きな障害は発生しておらず、概ね順調に研究が進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進として、研究計画に沿って、三陸沖ケーブルシステムを用いた観測に開発した長期連続地震観測システムを利用する。また、その後システム改良を行い、三陸沖ケーブルシステムを用いた地震観測をより安定して実施できるようにする。最終的には、2ヶ月以上の長期観測を連続して実施できるシステムをめざす。その後、システムの評価、成果公表を行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
2023年度に実施を予定していたシステム改良および三陸沖ケーブルシステムを用いた地震観測を引き続き実施しているために、2024年度に次年度使用額として、支弁する予定である。研究計画については変更はない。
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