2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K03779
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
兵頭 政幸 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 名誉教授 (60183919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸 雄介 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10399818)
ブラダック・ハヤシ バラージュ 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (10919509)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水熱実験 / 土壌化 / 中国レス / 帯磁率増加 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、実験手法の確立に向けて数多くの熱水実験を行った。その結果、熱水実験により土壌性磁性鉱物が生成されたことを精度よく定量的に調べる方法を確立した。また、土壌性磁性鉱物の生成が実験室で容易にできることを確認した。 土壌性自生鉱物の生成は帯磁率を測定して行う。微量な生成が検出可能な以下の方法を確立した。帯磁率値は3桁の精度で計測した重量で規格化する。帯磁率測定は、熱水実験後の試料を10℃以下に冷却して行い、標準偏差が5%以下になるまで回数を増やして行う。 帯磁率が異なる5つの中国レスのブロック試料を用意して予察的水熱実験を行い、次のような結果を得ることができた。(1)温度200℃では、1時間の加熱で2~6×10-8m3kg-1の範囲ですべての試料が帯磁率の大きな初期増加を起こす。IRM成分解析により、これは低温酸化生成マグヘマイトの分解で結晶歪の解消による帯磁率変化であり、土壌化生成酸化鉄鉱物ではないことを確認した。したがって、帯磁率は初期増加値を基準に増加量を測る。(2)帯磁率120×10-8m3kg-1の試料を使って1、2、3、5、7、9、24、46、90、174、336、672、1008 hoursの水熱実験を200℃で行い、その帯磁率変化と各試料のIRM成分解析により以下のことを明らかにした。5hまでは緩やかな帯磁率増加を示し、SP磁鉄鉱粒子(+赤鉄鉱)の生成によることを確認した。5hから90hまで帯磁率減少が起こる。これは砕屑性細粒磁鉄鉱の高温酸化による減少である。90hからSD磁鉄鉱が増加して帯磁率が大きく増加する。まだIRM成分解析を行っていないが、150℃の水熱実験についてもほぼ同様の帯磁率変化を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レスの土壌化による帯磁率増加の原因が磁鉄鉱と赤鉄鉱の生成によることは岩石磁気的データにより解明されてきたが、その生成過程、生成時間の理解は古気候学的応用において重要であるにもかかわらず不明なままであった。令和4年度の予察的実験で、実験室において土壌性磁鉄鉱・赤鉄鉱が短時間で生成できることが確認できたことは大きな前進である。また、生成速度の見積もりの目途もたったことは大きな進歩である。
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Strategy for Future Research Activity |
室内での水熱実験で磁性鉱物の生成が容易に短時間で起こることが確認できたので、今後複数の温度で、帯磁率値が異なる複数の試料を用いて水熱実験を行い、生成速度を見積もる。見積もりに成功すれば、レス試料の粒子中のどこに生成されたかをSEM、TEM観察を行って調べる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は以下の4つである。(1)当初予定していた周波数依存性測定が可能な帯磁率計を購入すると他の設備が購入できなくなるため断念し、神戸大学の旧式の帯磁率計を整備して代用した。(2)その分、水熱実験用設備・消耗品の追加購入に回す予定であったが既存の設備・消耗品が利用できたため購入しなかった。(3)研究代表者と分担者(BB)は同じ機関の別のキャンパスにある別の部局に所属するが、実験室を分担者の部局に統合して実験を行ったため節約ができた。(4)新型コロナの影響で全国共同利用施設の利用が制限され、出張が十分できなかった。 令和4年度の予備実験で、実験方法が確立できたので、5年度は、次年度使用額を使ってステンレス製高圧用反応分解容器及びPTFE製試料容器の数を増やし、一度の水熱実験で処理できる数を増やして効率を上げる。PTFE製試料容器は1年間の使用で変形して劣化することも分かったので新規購入は必須である。
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[Journal Article] The magnetic susceptibility of Pleistocene paleosols as a martian paleoenvironment analog2022
Author(s)
Balazs Bradak, Akos Kereszturi, Vilmos Steinmann, Christopher Gomez, Diana Csonka, Masayuki Hyodo, Jozsef Szeberenyi, Agnes Novothny, Tamas Vegh, Gabriella Barta, Alzbeta Medvedova, Pavel Rostinsky, Enikko Mihaly, Viviana Jo, Erzsabet Horvath
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Journal Title
Icarus
Volume: 387
Pages: 1-15
DOI
Peer Reviewed